マイクは繋がっているけど音が出ない…ってのはセッティングしたとは言わんのじゃボケ!
ミュージシャン、カメラマン、ミキシングエンジニア、スタイリスト、IT業界、ホームページ制作などなどさまざまな業界においてしきたり、お約束のたぐいがあると思います。
自分たちが使う部屋とか道具に関してメンテナンスをするのはプロとして普通だと思うのですが、選択と集中とか、出来ることを伸ばすとか、分業化・アウトソーシングの流れの中で
- 事務所清掃を外部委託した流れでワークスペースにゴミが落ちていても拾わない…(業務領域を侵す事になるから)
- 技術者、製作者だからお客さんに挨拶できなくてもOK、自分たちの専門領域は別だから
- 詫びることは自分の責任を認めることだ!と思い込み、肝心のビジネスの現場で状況を悪化させてしまう
書き出せばきりないですけど、なんか違うんでないの?と思うことが多数あるのですけど、理屈で話を組み立てていこうとするとどっちが正しいとかそういう判断ではちゃんとした着地点に到達できないケースが増えていてほんと自分自身頭痛いですが、こういう場面でやはり共通認識の形成という意味での社会人、業界人としての「初期教育」の重要性を痛感する今日この頃。
駆け出し時代の事を思い返してみると、ミキシングエンジニアのアシスタントの仕事をしていた時代は10時から録音スタートするとしたら、10時にお客さんが来て録音がスタートできる、仕事をスタートできる状態にしておくことが基本で、自分が10時に来ることではないとまず教わりました。
ですので、10時までにメインエンジニア、アーティスト、ディレクタが何をするかを予測して準備を進め、その自分の予測のベクトルが合致する人からはリピートの仕事が来るし、合わない人とは何やってもベクトルが合わないので、なんとか仕事として成立するレベルを維持するテクニックを学びました。
アナログ時代はソロの録音(だいたい16小節とか)で24chなりのマルチトラックテープを巻き戻しして所定の位置から録音を再スタートするだけでも、数十秒の時間が掛かりますから、仕事のスピードがのろいとか、なんか要領得ない仕事をしていると
1時間3万円のスタジオ代に
エンジニアが1日8万と仮定して時間1万のチャージ
ミュージシャンが同様にh@1万のチャージをしているとして、4人のバンド編成なら時間4万レコード会社は時間あたり8万(1分だとおよそ1,333円)のコストを支払っており、アシスタントが無駄な仕事をしていればそれは当然怒られるわけですし、次から「あいつは外してくれ」という話になるわけです。
このアシスタントが仮に日本式の正社員として一度雇ったらそう簡単にクビにできない雇用関係とすると話はほんとに悲惨で、お客さんがまず仕事振りに満足していないので、当然本人もフラストレーションたまる、会社側も「こいつはアサインしてくれるな…」ということで扱いに困る…というまさに三方良しの真逆の「三方損」になってしまいます。
現場の仕事では何事予測や仮説をたてて、準備をしておき、イレギュラーな事が起きても対処する方法を2~3筋立てとして準備しておくことを学びましたけど、最後に紹介しておきたいのは多分スチール撮影の現場などでも同じと思うのですが、メインを張るエンジニアなりカメラマンが来たらすぐ仕事が出来る状態にしておくのが基本、つまり
マイクは繋がっているけど音が出ない…
カメラはセットされているがフィルム・メモリーカードが入っていない(容量一杯)…
というのはあり得ない話で、こんな事すれば私らの年代は
マイクは繋がっているけど音が出ない…ってのはセッティングしたとは言わんのじゃボケ!
と、とっても愛情に満ちたお叱りの言葉と、蹴り一発くらいは公衆の面前でも食らったりしていた訳です(苦笑)
こっから先を書いてしまうときっと不満を感じているのは自分だけではなく、一方的な愚痴になるのでやめますけど、最終ゴールの認識、イメージの描き方や、仕事の進め方など、相互にカルチャー違うなかで一緒に仕事するのはほんと大変だ…と痛感している今日この頃でございます。