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「雇用崩壊」大別して2つの方向性を労働者はどうのように検討するのか?

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テクネコ加藤さんとの連動企画みたいになっている雇用問題に関するエントリシリーズ第3弾(笑)、今日はオルタナブロガーの中村さんが書かれている「雇用崩壊」を読ませていただく機会がありまして、ワーキングプアの話題などをこちらで何回か取り上げさせてもらっている私として、個人的な感想ではありますがエントリとして書かせていただこうと思います。

この「雇用崩壊」の帯には「派遣切り」から「正社員リストラ」へ!?日本人の働き方はこれからどうなるのか?とあり、衆議院議員や人事コンサルタント、学者、ジャーナリストの方々などが各自の意見を述べられています。

この書籍だけでなく「日本人の働き方」という点で、日本型終身雇用制度はもう古く、グローバルビジネス時代にはそぐわないというような論調の意見が数多く見受けられますが、実際にその雇用モデルの恩恵に預っていた人たちというのはどのくらいいるのでしょうか?

昨日紹介した労働総研の首都圏・若年単身労働者世帯の最低生計費試算中間報告の概要の中に、企業規模のデータがあります。

11.企業規模

最も多いのが「公務」の19.7%、次いで「30~100人未満」と「1000人以上」の18.4%、「30人未満」の17.1%、「100~300人未満」の10.5%と続いている。小規模企業と公務や大規模企業との両極に分布している。中規模が少ないのが特徴である。男女別にみると、男性は大企業と公務が最も多く、女性は小規模企業に集中している。

このデータで驚いたのが公務員の割合って他の年齢別分布だとどんな数字になるのだろう?という事、そして1000人以上のいわゆる大企業に勤めているという割合が18.4%とありますが、この数字が正社員だけを指しているのかは残念ながらここのデータでは知ることができません(雇用形態のみについてのデータは存在しますが)

1000人以上の大企業で終身雇用の制度の恩恵に預れる可能性の高い人たちの割合が仮に18.4%いて、そこに公務員の19.7%をプラスすると、38.1%の人が一度勤めたら非常に安定した就労環境を手に入れていると推測できるのですが、この数字の割合が非常に高いと思うの私だけでしょうか?

終身雇用制度を維持するのはもう無理という話の展開の中で、ポスト不足であったり、バブル崩壊が大きなターニングポイントとして語られることが多いですが、そもそも企業のポストはピラミッド構造になっているわけで、大量入社組みがそろって歳をとった時の想定はどうなっていたのか?という根本的な話もあるのですが、仮に終身雇用のほうはもう無理って諦めたとしても、人材の高学歴化による仕事の確保という課題が重くのしかかってくるはずです。

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そして、収入のジニ係数の推移(世帯主年齢階級別)の数字を見てみると、世代別にみると、高年層のジニ係数は若年層より構造的に高い水準という結果が出ていてるようで、

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これらを見比べてみたときに、高齢化社会においての格差問題が構造的なものだとすると、それを出来るだけ回避するためにも、前述の労働総研の調査においては、若年層の不安は

「生活費が足りない」で48.7%、次いで「自分の健康・病気」の40.8%、「老後の生活設計」の32.9%、「自分の時間がとれない」の28.9%、「結婚問題」の23.7%などと続いている。

↑このような不安を抱えていると回答していますから、今後稼げる環境をどのように提供するのかって凄くポイントになっていきますよね。

雇用の創出のためには、企業がグローバルビジネスの世界で生き残るのが先決という論理で考えると、成果主義や能力主義の採用が一見妥当な感じがしますがこの方式でいくと、どれだけの割合の人がその恩恵に預れるのか?(恩恵から排除された場合に、個人の努力でどこまでリカバリーする余地が与えられるか?)

他方、内需主導経済や高効果価値によるモノ作りを推し進めるべきという主張の方々においては、諸外国の資本が日本に企業にも流入している状態で企業と株主がこのような方向にシフトするのが可能なのか?また、そこで右肩上がり方式とは別の方策をとっていくとすると所得面などで労働者はどのくらい我慢をしつつも、老後においてどのような保障を受けることができるのか?

などの情報を示してもらいながら、議論を積み重ねていくことが重要と思うのでした。

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