企業web担当者と制作会社がより良い仕事をするために。その2
先日は簡易版の要求仕様書を作成することで出来るだけ複数社からの見積内容が担当者の目的から外れていかないための例を示させていただきました。
前回のエントリの中でポイントになるのは、企画協力という表現をあえてしている点と、企画自体を丸投げしたいのかを明らかにするという事だと自分では考えているのですが、私の考えとしては、webサイト制作についてコンサルテーションを行う会社は多いですが、サイトの構成などについては丸投げではなく、共同作業をすることを強くオススメします。
仮に委託先のプロデューサやディレクタの思考パターンを広報担当がすべて理解できて、会社としても全面的にその案を受け入れるだけの度量があれば別ですが、事業部制のコンテンツの見せ方(事業領域の幅が広いケースも含む)や、民間・公共向けで重複するコンテンツがある場合、問合せをどの段階で誘導するか、価格の明示など会社としての方針と企画内容の不要なぶつかり合いが起きるのを出来るだけ回避しながら、共同作業において依頼者が目的とする結果が得られると思われる構成を作っていくことが重要と考えるからです。
このような考えをしている関係で、わたしの会社では共同作業の場合には「企画協力費」、完全にお任せの場合には「設計・企画費」として適用内容を別けるようにしています。
それと、ホームページ活用方法(インターネットにおける情報配信能力強化)についてのコンサルというのは有りと思いますが、たかだか10年かそこらの歴史で(ホームページ制作ということで会社が運営できるようになってからという意)、BtoBの領域においてクライアントの業務内容についてヒアリングを行い売り上げアップに貢献、様々なアドバイスも出来るという営業手法をとる会社さんとは実際にコンサルなりPMでアサインされる人を面接して決定できないのであればわたしは避けるべきと考えます。
先日のエントリでは、競合他社情報の提示についての記載も行いましたが、この部分についてはその会社が考えるブランディングの方向性によっては必要ないケースもあると思われます。
人間どうしても受け取った印象に引っ張られる部分ありますので、従来型からの決別をしたいような場合にはあまり競合他社との比較は行わないほうが良い場合も考えられるからです。
最近はさすがに少ないですが、どうしても会社内で「やれ」と言われてしょうがなくという消極的な要因が体勢を占めるような事案では、競合相手のサイトのコンテンツ内容を分析して自社掲載内容と比較して最低限競合に劣らないコンテンツを掲載するような方向性を望まれるお客様もいらっしゃいますし、対極の例として自社で定めたブランディングプランに従いブランドプロミスがきちんとユーザに伝わるサイトを制作したいという場合もありますのでほんとホームページ制作といっても求められる内容は全然違いますね(苦笑)
企業がwebというメディアを持って自社コントロールにおいて情報配信を行える時代になった今、ワンストップサービスでブランディングや広告・宣伝、PR活動や各種マーケティング活動を外部委託することもメリットはあると考えますが、Marty NeumeierがThe Brand Gapに書いているすべての中心に会社があり、それぞれのエキスパートを活用するような方式を取られる会社さんが徐々に増えていくだろうな~と推測しています。
なにせ、ホームページとネットでの情報配信能力を最大限活用するということは、テキスト、図版、映像、音声という情報伝播の方法を網羅する、もしくはユーザがそれぞれの嗜好にマッチした情報をチョイスして情報収集することを可能にできるということなのですから。(この辺をわたしはよく、みる【見る・観る・視る】というような表現をします)
BtoBを基本としていて、会社売上規模が100億以上の単位、1案件の金額規模が千万単位が当たり前という会社のコーポレートサイトを担当されている広報担当の方々はどのようにして自社サイトの存在意義を確立していくのか、、、というのが非常に難しい問題と思うのですが、ブランディング、CSR、求人、適切な自社情報の開示というさまざまな側面において右腕になってくれる制作会社を見つけるにはやはり自分の考え方を理解して形にしてくれるwebプロデューサかディレクタとの出会いが必要と思います。残念ながらこの点については会社という単位ではなく、人と人の出会いなんですよね。