「音楽プロデューサー」も「プロジェクトマネージャー」もやっぱり難しい!
既にご本人を含めて幾名かのブロガーの方が書かれているが、先日、オルタナティブ・ブログのブロガーの月例ミーティングがあり、「平凡でもフルーツでもなく、、、」の佐々木さんによる講演があった。
かつては某超有名バンド(としなくても実は答えは書いてあるのだが)にてレコーディングや全国ツアーに参加されたプロのギタリストで、今はメインの活動をホームページ制作会社の社長としてされておられる佐々木さんが、(ご自身の弁を借りれば)その音楽業界におけるエンジニアや音楽プロデューサー業の経験を応用することで、一般的なビジネスにおいても数々のプロジェクトをマネジメントすることができた、というお話があった。
このお話を聞いて、自分が思ったことは、
・確かにバンドと仕事のプロジェクトは似ている。
・あとは、(バンドの性質にもよるが)バンドの場合、各メンバーにおいて、自己主張をする部分はあっても、相手の出方を見て自分が引くところもあるかもしれない。
・プロジェクトの場合、(うまく行かないケースだと)皆が自己主張が激しく、プロジェクトリーダーが調整に苦労する、なんていうのもあるかもしれない。
・雇われプロジェクトリーダーなのか、面子を選定できる権限まで用意されているプロジェクトリーダーによって、その苦労の度合いは大きく違うのかもしれない。
・但し、(自分の知っている)単なるアマチュアバンドの世界と、仕事で集まった、もしくはこれから仕事としていくために集まったバンドの場合でも、違うかもしれない。
というところだった。
後日、佐々木さんが補足エントリーをあげられていた。以下、そこから転載。
わたしが伝えたかった要旨としては、前段の楽器(人材)の適材適所への配置・登用は当然重要なんですけど、素材(人材)はただ配置するだけでなく、プロデューサーやミキサーがその素材の良さを引き出す作業が必要で、音楽制作の中で行われるミキシングという作業ではこんな事をするんですよ、というご紹介と人材活用の観点から適材適所への配置と各人の能力発揮にはやはりプロデューサーやミキサーといった全体を見渡す立場の方の役割重要ですよねってお話をしたかったのでした。
確かに。
「全体を見渡す」というのはそのあっさりとした言葉の響きに比べて非常に困難なことである。
まず構成メンバーに対して、自分達が何を成し遂げるべく集まっているのか、目的意識の共有を働かせる必要がある。
非常に個人プレーが上手い人が居た、としても、それが全体進行上、かえって問題を引き起こす可能性がある、もしくは引き起こしてしまっている、としたら、本人のやる気を削がないようにしつつ、ベクトルの向きを変えさせる、という技が必要だろう。
※特に、音楽のような”個人の感性”がその能力発揮に対して影響を及ぼすものの場合、余計に、”本人の個性”を存分に発揮してもらわなくてはいけない部分と、プロとしての割り切りを持ってもらわなくてはいけない部分の両面があるのでは無いか、と推測する。
場合によっては、意図的にまだスキルを持たないメンバーを入れる場合もあるだろう。この場合、本人のモチベーションが高い場合は、どんどん追いついて来させて早期戦力化させるための仕掛けが必要だろうし、また途中でへこたれた場合は、その相手に合わせた叱咤激励も必要だろう。「俺、もう完璧だから」と調子に乗りすぎてしまった場合は、それなりの鼻のへし折り方も必要かもしれない。
正論をぶつけることももちろん必要だが、感情論に発展してそもそものプロジェクトの目的達成が危ぶまれるようなシチュエーションは避けなくてはいけない。「まぁまぁまぁ・・・」と”接待”じみたコミュニケーションの図り方もあるかもしれないが、それしかできないのであればマネジメントできているとは言わない・・・。
全てにおいて、条件の揃った人材が集まり、それらが集まった瞬間、もしくは集められる前から自分達の目的意識を正確に理解して、かつ自分達の役割を理解して、何を言わずともきっちり自分達の守るべきところを守りつつ、他者に対するリーチアウトを行い、さらにフォローを行い遂行する・・・なんてことがあれば実はプロジェクトマネジメントは必要無いのかもしれないが、”絶対無い”とまでは言い切らないものの、そんなシチュエーションに出会えることはまず無い、と思っておく方が妥当だろう。
スーパーマンが居た、としても、その人一人が行えることはやはり限定的である。だからぞれぞれ形態や大小の違いはあれど、集まって仕事をする訳であり、そんな所において、前述のような超恵まれたシチュエーションは存在しないと見ていいから、プロデューサーなりプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーが存在するのだ、と思う。
・・・大変だ、「音楽プロデューサー」や「プロジェクトマネージャー」って。