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わ!”数字の魔術師(マジシャン)”が来たぞ!騙されるな!

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決して揶揄して言われている訳ではなく、どちらか、というと、極めて真面目に他の人から「あの人はプレゼンの魔術師なんだよねぇ」とか「数字のマジシャンだよねぇ」とか言われる人って居ません?・・・自分の周りだけの話かなぁ・・・。

今日はそんなお話です。

最近、広告だとか、朝の情報番組とかを見ていても、街頭で街行く人々にアンケートをしました、と言っても、結果を円グラフで表示しているものって多いような気がしています。

一方で、全てが全て、と言いませんが、結構n数が書いていないものが多いような気がします。

円グラフで見せられて、○○と答えた人が68.9%居ました!とか言われても、n数自身がはっきりしていないのだから、それが本当にどれだけたくさんの人の代表した意見なのかがよくわからない、というか。

でも、こんなのましな方かもしれません。

その1.n数が書いてあったとしても・・・。

n数の明記はあります。しっかり32と。

でも、その32はアンケートに答えてくれた数であり、その母集団そのものが2500だった時に、はてその32の中でパーセンテージを出すことにどれだけの意義があるのか・・・。

ましてや無作為抽出による32ではなく、投げ掛けできたもの、投げ掛けそのものすらしていない集団が他に多々ある中で・・・と言われると、情報操作以前の問題か・・・と。

その2.いかにももっともなんだが・・・。

「今回企画しておりますこのサービスを、○○会員の加入率上位である会社様におかれましては、既に独自の取り組みで行っておられます。それをいくつかサンプル分析してみますとこれこれこんだけの成果があがっておりますので、これを全国展開したとしましたら、全体でこれこれこんだけの成果が見込めると言えます」

あながち外れでは無い。事実で述べている部分もあるから、あながち嘘とも言い切れない。

但し、この表現において、かなりまやかしめいているのは、○○会員の加入率上位の結果、そのサービスによる成果が発揮できたのか、元々そのサービスによる成果が発揮できるような営業活動が常日頃なされている中で○○会員の加入率を上げることができたのか、の因果関係を正しく証明していないから、である。

でも、こういう風に三段論法風に言われると、案外「へぇ、そうなんだ!」と言ってしまう人が居るんだな、これが。

その3.一般的な常識と思われていることにつけ込む

「我が社は中途採用率3割を超えておりますので、中途採用の方でも不公平なく安心していただけます」

なんて採用のコピーを見たことある方も居られる、と思う。

まぁその3割が妥当かどうか別にして。

昨今はそれ程でも無いとは思うけど、元々終身雇用制が当たり前のように思われていた日本の企業においては、中途採用の枠は一般的に少ないだろう、という前提に立てば、3割でも多い方だから中途採用には優しい、という見方もできるけれど、逆に言えば、中途採用では無い人が10-3=7割居るってことである。

イコール、全体の従業員構成を大きく占めているのはやはり新卒採用組であるから、企業としてのルールが中途採用組に優しくなっているか?と言えば必ずしもそうでない。

では逆のお話。

「我が社は中途採用率8割を超えておりますので、中途採用の方でも不公平なく安心していただけます」

今度は中途採用が圧倒的大多数なのだから、安心して働けるか?とも言えるが、(その企業の成り立ち、歴史にも当然依存するので、少数かもしれないけれど)それだけ、中途採用を取らなくてはいけないぐらい人の出入りが激しい、という見方もできる。

結論として言いたかったのは、数字、というのはある面絶対的な存在に感じられるけれど、ケースによってはどうとでも作ることができる、ということである。

(自分への言い聞かせも含めて)普遍的に、人に騙されることなく、(意図的か偶然かは別にして)人を騙すことも無い、数字の取り扱いをしたいものです。

・・・と問題提起だけしておいて、詳しい解説は、永井さん中村さんにお願いしたい所です。

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