自動車販売概ね初売り開始・・・とその理由
昨日、神戸郊外の街を見てみると、概ね国産ディーラーや中古車専業店の「初売り」が開始していた。お店によっては、2日からオープンしていたところもあったはずだが、出揃う、という意味では正月3が日の終わった昨日ぐらいになるのだろう。
初売り・・・国内の自動車販売に携わる人間であれば、たいてい一度は耳にしたことのある言葉である。要は年明け早々、自動車の販売を開始する際の一つのイベントみたいなものだ。でも、先般、会社でその話題になった時、案外理由に関しては(自分よりも先輩の人であっても)知られていないことがわかった。
ということでちょっとお話してみたい、と思う。
まず非常に単純な理由で言えば、正月、ということで、皆がおめでたいムードになる中、気分も良い、ということで、少々高額な商品でも購入してもらい易くなる、という心理を通じて自動車を購入してもらおう、ということである。同時に、新しい年を迎えた、ということで自動車も新しくしてもいいか、という人に一早く購入してもらうことである。この点に関しては想像がつかれる方も多いかもしれない。
でも、自分がかつてこの業界に入って初めてこの「初売り」という言葉を聞き、当時の大先輩に教えてもらったのは違う理由であり、今もそれが一番有力であると思っている。
日常出稼ぎ等で実家を留守にしている一家の大黒柱が正月にはさすがに帰ってくる。日常自動車を利用している人には日頃の営業活動で話をすることができ、関係が作れていた、としても、自動車を購入する、というイベントにおける購入決定権はあくまで「大黒柱に相談しないと」ということで最終合意には至らない。だからこそ、その大黒柱が戻って来ている正月中に話をして商談を行う、ということである。「出稼ぎ」という言葉の響きそのものは大分古い言葉になってしまったかもしれない。でも、未だに「単身赴任」という形で国内外を問わず稼ぎ主が遠く離れた地に暮らすことはまだまだ多く、むしろ昔よりも増えているかもしれない。そういう意味では前述の”正月ムード”と併せて必然たる「初売り」の理由は存在するのである。
そういう意味では、正月3が日の間がやはりメインの商談時期であり、このタイミングの間に営業を開始しなければ、正確には初売りとは言い切れないのかもしれない。年々その用語の使われ方が曖昧になり始めているような気がするが・・・。
ちなみに裏の側面である次のような理由を挙げる人も居る。正月休み、皆さん自動車で移動をされる機会が多い中、残念ながら自動車の事故もそれなりに発生する。この場合に、事故車を収容できる機会を提供することの必要性、また自動車がどうしても必要な生活環境を取られている方に対して、必要な自動車をどうするか?をお話できるためにも正月の早い内に営業を開始する必要がある、という説である。これはある面、正しくもあるが、そうとは言い切れないところもあると自分は考えている。
何故なら、初売り期間においては、自動車販売は行うが(事故車の修理見積りを行う等の)サービス部門の営業は行っていない、という部分開業ケースも多々あるし、事故の場合の協定に必要な自動車保険会社の査定業務そのものがオープンしていないケースも多々あるからである。
ちなみに、妻の実家の周辺地域のレクサスはまだオープンしていなかった。前述の理由のいずれのパターンを勘案してもレクサスの顧客層とは合致しない、ということなのか、と思った。