自動車販売の初売りとITシステム改廃の影響
昨日に続いて、自動車販売の初売りに関するお話を。
昨年、いやもう一昨年末のエントリーでも書かせてもらったが、ここ数年年末年始にITシステムの改廃が相次いでいた。もちろん、自社の営業施策に基づくものの場合も一部はあったが、どの自動車メーカーにも影響のあった法対応施策が相次いでいた。
自社の営業施策はさすがに書くことはできないが、法対応は各関連省庁のプレスリリースにも出ているので問題は無いだろう。過去を挙げてみる。
施策 | 主たる管轄 | |
2004年1月 | ・MOTAS(自動車登録検査業務電子情報処理システム)改修対応 (型式指定番号、類別区分番号の桁拡張等) |
国土交通省 |
2005年1月 | ・自動車リサイクル法対応 | 経済産業省 |
2006年1月 | ・自動車保有関係手続きのワンストップ化対応 |
国土交通省 |
2007年1月 | ・自動車完成検査修了証の電子化(軽自動車) |
国土交通省 |
自社の営業施策であれば、その内容によってはまだ調整次第で対応時期をずらすことができるかもしれないが、法対応、官公庁関連となればそうはいかない。また、対応時期だけではなく接続テスト等失敗は許されない。元々官公庁系のシステム接続におけるテスト期間は日数が限られている中、各自動車メーカーでその日数を分け合う形を取るため、事前テストの中で全てのシミュレーションを行える訳では無い。そんな中、本番を迎えるためには万全の体制を整えた上で対応を行う必要があるので、直接関連するシステムだけではなく、間接的なシステムのチェックも行う必要が出てくるため、ユーザーが利用できる機能部分の稼働停止領域が増えてくる。
でも、そうなって来ると影響があるのは初売りを行う自動車販売会社の現場である。
自動車リサイクル法の場合は、販売における諸費用の考え方や取り扱い方法が大きく変わるので、販売現場における業務的な影響もあったが、その他の場合、大きな変化は無かったり、販売現場には直接影響しなかったりした。それでも、日常業務を行うためのITシステムは利用できなくなっている。不満もあった、と思うが、文句を言う矛先も定まらないので受け入れるしかない、ということで、初売りの現場でも混乱があったこと、と思う。
ちなみに、年々販売現場は、規制緩和の影響等により業務が複雑化している事実はある反面、業務を行うためにITシステムを利用することを前提で業務手順を覚えているスタッフも多く、ITシステムを利用しないとそもそもどのように業務を行うか、ということがわかっていないケースも多い、と聞く。そうなってしまうと、一部のディーラーにおいては業務システムの利用不可は業務遂行に致命的なダメージとなってしまう。イコール初売りを諦めたり、例年に比べてスタート日を遅らせたりするケースがあったようである。
一昨年末のエントリーでも書かせてもらった時、2007年は新システムの立ち上げが無い、と書いていたが、前述のように、システム変更は無いものの、対応そのものはあったのである。そういう意味では現場からそのことに関する問い合わせがある、ということにはつながらないが、システムがやはり止まっていたことには変わりない。
直接的な開発現場を離れた自分ではあるが、今年の正月はシステムの立ち上げも無ければ特に何かの対応が迫られる必要も無かった、と聞いている。したがって、例年とは異なり、久々に何も無いシステム稼働計画が取れたはずである。
前述のように、自動車メーカー全てに関わる法対応、官公庁関連の件だから、自社に関わらず状況は同じはずである(各社、何かの営業施策に関連する自社都合のものがあった、としたら別だが)
さて、今年の初売りは落ち着いて行えただろうか。