業務プロセスの再考と可視化は仕事に役立つ。
IT技術は勿論大切ですが、利用者(経営者・事業責任者)が何を求め、何を重要と思っているかという事を把握しておく事が、利用者にITシステムを有効に、心地よく使ってもらう為には大切です。この事が、このBlogの誕生動機でもあるわけですが、その観点に立ち色々見ていくと、30数年小生が携わってきたIT領域とは別の領域が見えてきて結構楽しいわけです。IT領域とは関係の薄い或いは全く無いと思われていた領域が、非常に近いものなってきています。「経営とITの融合」という表現がそれを表わしているのでしょう。その意味するところは相当深く、それを考えるのも又楽しみでもあります。
人はどのようにして仕事をしているのでしょうか? ITを離れて考えてみましょう。何らかの「情報」を得て、その情報を分析・判断し「行動」を取り、次の人にリンクすると言って良いでしょう。「情報」と「自分の行動」と「他人へのリンク」です。後ろの2つを併せて「業務の流れ」と呼びましょう。「仕事」=「情報」+「行動」+「リンク」=「業務の流れ」+「情報」 なんて書けるのではないでしょうか。
これをITの視点で見ていくと、幾つか面白い事に気が付きます。
①今まではIT産業は、「情報」しか扱ってこなかった。範囲を広げても「情報」と「自分の行動」まででしょうか。その昔、現在のIT産業は、コンピュータ産業・電子計算機産業・情報産業と呼ばれていましたが、それを如実に表わしています。人間に代わって大量データを一生懸命に処理して「情報」にするのがシステムだったのですから、「情報」しか扱えませんでした。今でもIT技術者・IT産業界の大半はそこに止まっているのかもしれません。一方、仕事に従事する人は、最初から、「仕事」の「情報」以外のところ、即ち「行動」+「リンク」、「業務の流れ」も重要に考えています。その証拠に本屋のビジネス書のほとんどはこの類でしょう。そんな時、IT技術の進歩がITシステムで「業務の流れ」を扱えるようになって来ました。「業務の流れ」は「業務プロセス:Business Process」という呼び名で扱われています。今までのIT産業は「情報」を中心に扱ってきましたが、これからは「情報」と同じように「業務プロセス」を大切に議論し扱っていく時代でしょう。
②「業務プロセスの可視化(業務の流れの見える化)」という言葉が徐々に定着して来ています。可視化(見える化)の意味するところ、幾つか箇条書きにしてみます。
・結構、見えているようで見えていない。
・皆で「可視化」作業をすると議論百出で大変だが、最後には共感共有となる。
・誰にでも全体が解る。
・見えると「改善点」も見えてくる。
・見えると「悪い事」はできなくなる。
・特別処理(例外処理)が必要になる・・・・企業ごとの競争優位点。
・特別処理を深く理解した、その業務のプロが誕生してくる。
・事業責任者は「可視化」できて初めて責任者として安心できる。
因みに、BPMNは多くの可視化ツールで使われている標準モデリンク記述言語です。
③今、話題になっている企業内部統制、ISMS、トランスペアレンシー等は、「業務プロセス」が明確に可視化されて初めて有効に成るのではないでしょうか、その意味からも業務プロセスベースのシステム構築が必要になってきます。そのベース実行プラットホームがBPMSという事と思います。