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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

日本のBtoB企業でWebマーケティングができていない会社には2つのレベルがあります

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ITとマーケティングに強いビジネスライター森川ミユキです。

一時期「デジタルとマーケティングに強い」というタグラインにしていたのですが、それだと「デジマに強い」みたいな感じですよね。それも強かったりするんですけれど、営業企画部にいたことがあったので、ちゃんと基礎からマーケティングを勉強しているのです。ということで「ITとマーケティングに強い」にすることにしました。

こうやって宣伝しているのは、マーケティング関連のお仕事は面白いのでもっとやりたいからです。なのでちょっと盛っていますが(笑)、しかしお仕事はきっちりやります。ぜひお問い合わせください。

実際、一昨年の暮れぐらいから今年の春ぐらいまでにかけて、マーケティング本の制作支援を立て続けに6冊やりました。そしてそのうちの2冊が「BtoB企業向けのWebマーケティング本」だったのでした。

それまでBtoB企業向けに特化したWebマーケティング本って、どうもなかったらしいんですね。もしかしたら出版社の勘違いかもしれませんが、企画趣旨説明ではそう伺いました。

その数少ないBtoB企業向けのマーケティング本を2冊お手伝いしてわかったことは、日本のBtoB企業のWebマーケティングはとても遅れているということでした。その分伸びしろが大きいから取り組んだもの勝ちだという主旨も共通していたのですが、ただ遅れ方という意味では、もう全く違っていたのです。

どうも日本のBtoB企業のWebマーケティングの遅れ方には2つのレベルがあるようなのです。

1冊目の本は、MAとかWeb接客とか言う以前にホームページ(コーポレートサイト)が役割を果たしていない企業向けのものでした。何をしている会社なのかさえわからない会社が多い、中には誰でも知っている有名なブランドを持っているのにそれが載っていないサイトまであると言うのです。

それを改善して、ランディングページをしっかり作るだけでも売上がかなり違ってくるのだそうです。

2冊目の本は、もう少しレベルの高い企業が対象で、MAツールを導入したことがあるが、結局活用されていない企業向けの本です。こちらの主張は、なぜMAツールやCRMツール、あるいは(マーケティングツールではありませんが)SFAツールなどが使いこなせていないかと言えば、それはBtoBマーケティングについての理解が不足しているからだ、と言うんです。

その理由は単純でして、日本企業では長らく(という言うか今も)営業部門がマーケティングを担っています。私がいた営業企画部というのも1つのミッションとしてマーケティングを担当しておりました。でも今思い出したのですが、私が営業企画部にいたのは、2003年頃、つまりIT企業にマーケティング部門ができ始めた頃で、手探りでいろいろやっていたのでした。お手本がない上に我々にも知恵がなく、営業部門によく怒られてました(^_^;)

そんな感じで、マーケティングを営業部門がやるという伝統が日本企業にはあるわけで、そうするとインサイドセールスを軽視するというか、「そんなの営業じゃなねえ」みたいな風潮があるんですよね。

MAツールなんてものは、代表的なインサイドセールスのためのソリューションですから、日本企業でそんなものが有効活用されるはずもありません。一部の外資系企業を除けば、日本のBtoB企業のほとんどがMAなどを使いこなせていないのは、使う理由がないからなのです。

ところがそんなツールを使いこなしている欧米企業の日本駐在員とかがこんなことを言うんです。「日本のメーカーの製品は確かに品質はいいけど負ける気がしない。だってあいつらマーケティングを知らないんだもん。ワハハ」

まあ日本に来ている外国人ビジネスパーソンのみんながみんなこんな失礼なやつばかりではないと思いますが、本当にあった話だそうです。取材時に伺いました。

まとめますと、日本のBtoB企業でWebマーケティングができていない企業には2つのレベルがあります。

  • レベル1:そもそもコーポレートサイトが貧弱(ユーザー向けがダメ)
  • レベル2:MAツールなどマーケティングのためのツールが使いこなせていない(バックオフィス系がダメ) ※

まあツールが使いこなせないという意味では似たり寄ったりではあります。いずれにしても伸びしろが大きい。ということで、ことBtoB企業に関して言えば、Webマーケティングにしっかり取り組むことで売上が20%~30%伸びるケースは珍しくないとのこと。レベル1なら2倍ぐらいになるケースもあるそうです。

DX推進でどこから手を付けたらいいかわからないというBtoB企業さんは、Webマーケティングから始めるのもいいかもしれません。DXなど大げさなことを言わずとも、コーポレートサイトをわかりやすくするだけでも効果がある会社さんも多いと思います。

などと書きながら、実は最近になって、日本式経営が日本経済停滞の「諸悪の根源」のように言われていますが、本当にそうかと疑うようになってきました。アメリカ社会のいろんな矛盾を見ていると、何でもかんでもアメリカ式一辺倒でいいのかと思うんですね。

まあこれはWebマーケティングとかデジタル化とかそういったテーマと比べると大きくて広い問題なのでここには書き切れません。本当の幸せとは何かみたいなテーマです。

そういう視点で見ると、営業がマーケティングもやるという日本式は本当にダメなのか、むしろそれに合ったWebマーケティングやデジマもあるのではと思うのです。そういう考えで成功されている会社さんがあれば、ぜひ取材してみたいと思う今日この頃です。

※MAはABMなので、Webマーケティングというよりデジマだろうというご意見もあろうかと思います。むしろそちらが正しいと思いますが、本稿ではあえてごっちゃにしております。


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