オフショア開発は相変わらず難しい
おそらく特殊なのは日本のほうなのでしょうが、海外のシステム開発ベンダーを使うのは相変わらず大変なようです。
ITに強いビジネスライターの森川滋之です。取材等で知ったことを、言えない固有名詞は伏せてお伝えしております。
午前中にオフショア・システム開発専門のプロジェクトマネジメント企業というかなりニッチな業態の会社を取材してきました。
僕は15年前に、オフショア開発の現状視察ということで上海に行ったのですが、その頃と課題は大きく変わっていないことに驚きました。なかなか間違いを認めないとか、テストをやらないとか、時間を守らないとか・・・。デジャヴに襲われた気分です。
※海外のITエンジニアがどんな感じか知りたい方は、2015年に、上海でIT企業を経営している社長にインタビューした記事がありますので、そちらも併せてご覧ください。
オフショア開発に限らずシステム開発プロジェクトはそもそも大変ですが、発注側の負担が日本のベンダーと海外のベンダーでは大きく違います。もちろん海外のほうが大変です。
やはり日本のベンダーは、現時点でもインドや中国より単価が高い分、発注側の気持ちを「忖度」して、きめ細かいサービスをしてくれます。
海外のベンダーでは、当然のように契約した範囲でしか仕事をしてくれません。ですので仕様書にない機能は作ってくれませんし、プログラム設計書のレベルで例外処理等を書き忘れると(ふつう書き忘れますw)作ってくれません。テストも仕様書にないことはやってくれません。
ちょっと意外だったのが、納期遅延に関するペナルティが通常ないということでした。まあ、日本のベンダーでも納期遅延のペナルティというのは余程のことでないとないのが普通ですが、しかし納期遅延を起こすとたいてい赤字になります。そのコストは払ってもらえないことが多いので、実質ペナルティを受けているに等しい。
ところがオフショア開発だと、結構相手側の都合で延びることが多いらしいのです。停電があったとか、プログラマの体調が悪かったとか。あとは日本のレベルで考えると仕様変更か?と首をひねるような変更のせいにされることも多いようです(納得して受けた変更だったはずなのに、言い訳に使われるようなケースがあるとのこと)。
全部が全部そういう会社ではありませんが、そういうこともよくあるそうです。ただ、元々がかなりの短納期なので、ペナルティを課すケースは稀だと言います。
そういう事情なので、やり直してをしているうちに、日本のベンダーに頼んだほうがトータルで安かったと思われるケースもあるとのこと。
「思われる」と書いたのは、比較したことがないからです。この会社のお客は主に日本のメーカーですが、海外進出している企業です。オフショア開発しているのは海外現地法人で使うシステムで、メンテナンスは現地で行います。そのためドキュメントは英語で作ることになります。
日本のベンダーに英語のドキュメントでの開発を頼むのは難しいので、最初から選択肢にありません。なので比較したことがないわけです。
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◆立ち読みはこちらで → http://s-morikawa.jp/etc/galley.pdf
97ページ分(全体の44%)読めますので、お暇ならどうぞ。
ただ電車で読むのはお勧めできません。