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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

外注が「仕切る」には

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打ち合わせで積極的に仕切ることもライターには必要です。

でも、外注にあからさまに仕切らたら不快になるのが、顧客というものです。

では、どう振る舞えばいいのでしょうか?


ITに強いビジネスライター森川滋之です。

昨年の終わり頃。

僕は、有名企業A社(仮名、以下同様)の会議室にいました。

A社は、僕が直接取引している広告代理店イ社の顧客です。

仕事の話は夏頃からいただいていましたが、なかなか打ち合わせに至りません。

イ社の話ではA社がなかなか方針を決めてくれないからとのこと。

その日も、具体的なことはまだ決まっていないようでした。

●決まっているのは期日だけ

打ち合わせの時間は1時間程度。

イ社のロ氏が司会を務めました。

ロ氏は、今までの経緯と現状決まっていることと決まっていないことを、用意してきた資料を基に要領よく説明しました。

これに関しては良かったのですが、決まっていることといえば、販促のためにA社のHP上に技術コラムを掲載するということと、クリスマス前に掲載したいということだけ。

ちなみに打ち合わせは11月の中頃でした。

具体的なコンテンツについてはほとんど何も決まっていないのに締切りだけが決まっているという最悪パターンです。

イ社は今まで何をしていたのだろう?というのが、僕の偽らざる気持ちでした。

このままでは間に合わない、この僕が打ち合わせの終わりまでに具体的なことを決めねばなるまい――と心に誓った次第です。

●ファシリテーターとは?

モノゴトを決めるには、ファシリテーターを務めることが一番です。

ファシリテーターとは、議論の活性化を促し、合意を形成する人のことです。

通常ファシリテーターは司会を務めます。司会者が一番その職責を果たしやすいからです。ですので、司会者のことをファシリテーターというと思っている人も多いようです。

しかし「議論の活性化を促し、合意を形成する人」がファシリテーターです。ただ議事進行しているだけではファシリテーターとは言えないのです。

ロ氏は残念ながら、ファシリテーターとはいえませんでした。そのためのトレーニングを受けたことがないのでしょう。

●司会をしないでファシリテーターの役割を果たす方法

では、僕が司会をすればいいのでしょうか?

そういうあからさまな仕切りを、外注先の人間がしてはいけません。

ロ氏の面子をつぶすことになります。仕事をくれる代理店の担当者の面子をつぶしていいことなど何もありません。

僕は仕事に取りかかれるだけのコンテンツの具体性がほしいだけで、場をまとめた栄誉がほしいわけではないのです。

司会をせずにファシリテーションをするという高度な技が必要とされました。

司会はロ氏のまま、僕は質問で話の流れをコントロールする――というのがその技です。

●ファシリテーションの流れ

「質問で話の流れをコントロールする」ためには、その「流れ」を理解していないとできません。

ファシリテーションは、下図の4つのステップで構成されます。

2016051101.png▲ファシリテーションの流れ(拙著『SEのための「不況に強い」営業力のつけ方』より)

共有とは、現状についての情報を参加者全員で分かちあうこと。

発散とは、ブレストなどの手法を使って、意見を出し尽くしてもらうこと。

収束とは、出尽くした意見を一定の結論にまとめていくこと。

決定とは、結論を全員で確認し、合意すること。

幸い共有はロ氏がしてくれていたので、質問によって発散と収束をすれば、決定事項の確認はロ氏がやってくれるでしょう。

実際、4ヵ月ぐらい進展がなかったコンテンツの具体的な方針がこの日の打ち合わせだけで決まりました。

しかもロ氏に花を持たせながら、僕はしっかりと実をいただきました。その上、ロ氏にもA社にも感謝されたのです。

では、どのように発散と収束をすればいいのでしょうか?

それについては、次回。

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