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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

【次世代PR試論】広告の仕様書を作る(5)

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僕独自の方法論で、企業に対して広告の仕様書(オリエンシート)作成を支援している。その方法論について述べる5回目。

オリエンシートを作成するにあたっては、関係者間で「商品軸」(「誰に」・「何を」・「なぜ」提供しているのかを言語化したもの)を共有することが大切だと僕は主張している。

今回は、このうちの「何を」の考え方について述べる。

これがなかなか難しい。

● 商品説明になってはいけない

「あなたは何を売っていますか?」という質問をすると、IT企業の営業なら「ソフトウェアです
」のように答えるし、書店の従業員なら「本です」のように答える。

もうちょっと気の利いた人なら「医薬業界向けの営業支援システムの構築支援です」のように答えるかもしれない。

「もう少し詳しく教えてください」とさらに聞けば、ほとんどの営業マンは機能や特長など商品の詳細な説明を始めるだろう。

しかし、僕が「何を売っていますか?」と聞いているときには、提供される側(つまり顧客)がどういう価値を受け取っているのかを言語化して欲しいのである。

まあ、これは僕の聞き方も悪い。そこで改めて「あなたはお客様にどういう価値を提供しているのですか?」と聞くことにしよう。

すると、多くの営業マンはどう答えていいか分からず沈黙してしまう。

しかし、広告を制作しようと思ったら、ここが重要なのだ。

● ベネフィットを考える

中には、スラスラと答え始める営業マンもいる。かなり優秀な営業マンだろう。しかし、その人でさえ、提供者側の目線で話をすることがほとんどである。

広告は受け手がどう捉えるかが重要であって、送り手が何を言いたいかは二の次なのだ。

これは、「提供価値」という言い方にも問題があるのかもしれない。

そこで、受け手目線の言葉を使うことにしよう。「ベネフィット」という言葉だ。

ベネフィットは「便益」と訳されることが多い。この日本語はあまり使われないので、ピンと来ない人も多いかもしれないが、便利+利益の意味だろうから受け手目線であることは間違いない。

ちなみに英英辞典を引くと次のように書いてある。

an advantage, improvement, or help that you get from something

まさに受け手から見た言葉である。

● ベネフィットは3種類

ベネフィットには3種類ある(下図)。

2014042301.png僕が実際に企業でコンサルティングしたときのワークシートを(内容が分からないようにして)転載した。単純なワークシートだが、考える観点が分かれば、いろいろと意見が出てくるものだ。

図を見ると、ベネフィットには「機能的ベネフィット」、「情緒的ベネフィット」、「自己実現ベネフィット」の3つがあることが分かる。

機能的ベネフィットというのは、いわゆる商品説明でよい。ただ、機能の詳細というよりは、その商品を利用することで得られる効果などを中心に挙げるのがいいだろう。

情緒的ベネフィットというのは、機能以外で訴求できることである。安心・安全などが主なものだろう。最近では、「環境にいい」というのも有力な情緒的ベネフィットだ。

自己実現ベネフィットは、その商品を買ったことで顧客が自慢できることと考えればいい。高額ブランド商品は、多くの場合に人に見せて自慢することが重要なベネフィットであろう。シリーズ商品のようなものであれば、それを全部揃える達成感も自己実現ベネフィットである。昔「いつかはクラウン」というトヨタの名コピーがあったが、これはまさに自己実現ベネフィットに訴求したコピーである。

3つの中で、自己実現ベネフィットを発見するのが一番難しいのは、やらずともお分かりだろう。しかし、発見できれば強力なキャッチコピーとなる。

 

今回は「何を」についてお話しした。次回は「誰に」の考え方について説明する。

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