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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

【次世代PR試論】ここまで「宣伝」は嫌われるようになった

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大宮のある製造業で、営業のコンサルをやらせてもらっている。

ここ1年ちょっと、積極的にいろいろなPRを試していて、それぞれ少しずつ手応えが出てきている。

今年は、FAX-DMに挑戦しようということになった。

多くのコンサルタントがそうだと思うのだが、僕のやり方は、何か始めるときにはクライアントに大きな流れを説明し、実務はクライアントにやってもらうというもの。

今回は、以前にHPのリニューアルで業者選定したときの流れを再確認し、選定ポイントや指標を決める部分については一緒に検討し、それ以降はクライアントにやってもらうこととした。

業者の決定まで2ヶ月かかり、途中で中間報告があった。

そのときに、僕が驚いた話を共有したい。

● FAX-DM業者にもコンサル力が求められている

僕自身、FAX-DMを使ったことがないので、どんなものかよく分からず、興味津々で担当のHさんの報告を聞いていた。Hさんの横には社長のIさんがいて一緒に聞いている。僕も含めて3人で月一度のコンサルセッションを実施しているのだ。

HPでは、ただデザインをするだけでなく、ネットマーケティングのコンサルもできるという業者のほうが仕事を取りやすくなっている。

FAX-DMでもどうやら同様らしい。FAX-DMの作成支援などのコンサル的なことができる業者が伸びているようだ。

もちろん、HPでも制作オンリーの会社があるように、FAX-DMでもただFAX同報をするだけのところもある。比較的安価で済むが、プロ向けと言える。

僕のクライアントは、初心者なので、コンサル的なこともしてくれるというのは、大きな選定ポイントだった。

「F社に決めようと思うんです」とHさんは言った。

僕が理由を尋ねると「セミナー資料が良かったんです」との答え。

コンサル力を知りたいので何か資料を送ってほしいというHさんの問い合わせに対して、F社からはセミナー資料を送ってきたのだった。

● まあ、そのように聞くからには・・・

結構分厚いセミナー資料で、それだけでもF社にはノウハウが蓄積されているのが分かる。

「このページを見てください」とHさんは、全体の3分の1あたりのページを開いた。

左右に2種類のFAX-DMの実例が並んでいる。左は、送付状風、右は広告風のものだ。FAX-DMと聞いて多くの人が思い浮かべるのが右の広告風のものだろう。

「どちらが反応が良かったか分かりますか?」

「まあ、そのように聞くからには意外な方でしょう? だったら左」

「当たりです。でも、どのぐらい違うかはわからないでしょう?」

「うーん。2倍程度?」

「正解は、10倍です」

「え~~~」 I社長と僕は同時に声を上げた。

● 「宣伝」は嫌われる

あなたが、大手企業に務めていて、上司からFAX-DMのデザインを頼まれたとする。その際に提出したとしたら、上司から「おまえ、センスないな」と評価されるだろうもののほうが、10倍も反応がいいのだという。

これには正直驚いた。

セミナー資料には解説もあった。

これを読むと、業種にもよって差があるのだそうだが、一般に「FAX-DMは、広告臭があるものは反応が出にくい」という。

15行程度で要点を、ただし丁寧な文体で書いた「文章」のほうが好感を持たれ、読んでもらえる。結果として反応率が高まる。

FAX-DMでそうなのだから、たぶんDMでも一緒だろう。

これは、肝に銘じておくべきことだろう――「宣伝」はここまで嫌われるようになった。

お金をかけて、凝ったデザインをして、結果として反応が悪くなる。そんな時代になったのだ。

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