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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

勝手にコミュニケーションスキルが身につく方法

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僕は、自分軸ナビゲーターという仕事柄、「引き出す質問」が得意だ。インタビュー記事を書く仕事をよく貰うのも、この能力のおかげだ。

「引き出す質問」というのは、相手が言語化できなくてモヤモヤしていることを、相手の口から言わせるような質問のことである。この質問が決まれば、相手は、便秘が治った時以上にスッキリした顔をする。

ただ、何でそんな質問ができるのが分からなかったので、人から秘訣を聞かれても、経験を積むしかないのではと答えてきた。

ところが、秘訣といえるかは分からないが、なんとか説明がつけられるようになった(下図)ので、シェアしたいと思う。

2013121301.gif● クライアントが教えてくれた

昨日、僕は自分軸ナビゲーションのセッションをしていた。

そのクライアントの第1回のセッションだった。クライアントが無事に自分軸を発見できれば、写真・本名つきの事例にしてもらえる約束だが、現時点ではまだわからないので、仮名でKさんと呼ぶことにする。

Kさんは、かなり優秀な女性で、たくさんの資格をお持ちのうえ、武道も嗜んでいる。職業は通訳で、日本では彼女にしかできないような通訳スキルも持っている。

日本の英語教育に疑問を持ち、聴覚や身体発達などと結びつけた本格的な英語教育をやりたいという志を持っている。

実は海外には良いメソッドがいくつもあるのだが、なぜか日本ではアクセスできない。その橋渡しがしたいということのようだ。

これらは日本人が体験したことのないものなので、それを響くように伝えるのは難しい。なので、自分軸を明確に言語することで、響くように伝えられるようにしたい。そのために、僕の元を訪れたわけだ。

彼女の能力は一風変わっているが、話を聞けばその必要性が十分納得できる。そして、一つ一つがすごい。

なぜ、そんなことができるのか聞いたところ「イメージ思考」ができるからだという。

● イメージ思考が理由だった

情景を描きながら考えることができるというのが、どうも「イメージ思考」の意味のようだ。将棋のプロは、頭のなかで駒を動かすことができるというが、あれと同じようなものらしい。

その言葉を聞いて、僕の長年の疑問が氷解した。

僕は将棋は弱く、頭のなかで将棋の駒を動かすなんてことはまったくできないが、人の話を聞きながら、具体的な状況をイメージすることができる。死ぬ前に人生を走馬灯のように振り返るというが、そんな感じなのかもしれない。

話を聞きながら、自分に置き換えて疑似体験をするということができるのだ。それも数秒間で。

やっていると、"絵"の中に欠落部分ができる。それは自分に体験がないのでイメージできない部分だ。

まずは、その欠落部分を埋める質問をする。「具体的なエピソードを教えてほしい」という質問を僕は良くするが、これはそのためだ。

こうやって辻褄が合う絵ができると、今度は自分では再現できるような気がしないところが出てくる。

● 「引き出す質問」の正体

これは、自分に成功体験がないので、言葉ではわかっても肌で分からない部分だ。

たとえば、「リーダーは部下の欠点を責めるのではなく、できたことを褒めよう」というような話を聞いたとする。

ポジティブ思考の人は「それはそうだ。自分もやってみる」といい、ネガティブ思考の人は「そんなことを言われてもこんなケースもあるから無理だ」という。

どちらも思考停止という意味では全く一緒だ。

ポジティブ思考の人は本質がわかっていないので、行動はするのだが成功確率が低い。

ネガティブ思考の人は、行動しないので何も身につかない。

ここで、イメージ思考の人なら別のことを考える。

僕の場合は、過去最悪の部下を思い出して、本当にできるかシミュレーションしてみる。どうもできそうにないと思えてくる。

そこで、こういう相手だったらどうするのかを聞くのである。

すると、相手の中から、彼の躰に染み付いているがために特に言語化してこなかった言葉が出てくるのである(具体例として面白い話があるが、それは別のテーマともつながるので、稿を改めて書きたい)。

これが、実は「引き出す質問」の正体だ。

●  「脳内シミュレーション」ができるようになるには

まとめると、相手のいうことを自分の身に置き換えて「脳内シミュレーション」できれば、「引き出す質問」もできるようになるということだ。

僕が「経験」だと言っていたのは、このような「脳内シミュレーション」を過去どれだけやってきたかということだ。

僕ができるようになった理由は、SEとしての経験があったからだと思う。顧客の業務を理解する必要があるのだが、未体験のことなので、脳内シミュレーションをしないと理解することができない。それで身についたのだろう。

これは、営業などではもっとも必要な能力だし、必要でない業務はほとんどないような気がする。

「引き出す質問」ができるようになりたいなら、普段の業務で「脳内シミュレーション」をやることだ。

● コミュニケーション・テクニックは勝手に身につく

「脳内シミュレーション」を普段から心がければ、コミュニケーションの基本スキルは勝手に身につく。

傾聴、相づち、共感、要約、ミラーリング、ペーシング、ラポールなど、コミュニケーション・テクニックはたくさんあるが、これらを個別に身につけてもあまり意味がない。また、個別に身につけるのも結構難しい。

しかし、「脳内シミュレーション」を心がけていれば、どうだろうか。

 傾聴:脳内シミュレーションに忙しく、相手のいうことに口出ししている暇などない

 相づち:自分のことのように聞くのだから、いつの間にか打っている。

 共感:自分の身に置き換えるのだから、共感せざるを得ない(共感できないと無理)。

 要約:シミュレーションの作業そのものだ。

 ミラーリング:相手を自分に置き換えるのだから、相手の動作を自然に真似する。

 ペーシング:ミラーリングと同様。

 ラポール:自分のことのように聞くのだから、相手は必ず親近感を覚える

逆に、以上を意識してコミュニケーションしている相手をわざとらしく感じないだろうか?

コミュニケーションの大きな目的が相互理解だとすれば、「引き出す質問」ができるということは、その目的にかなうことである。

山登りをするときに、杖をたくさん使っても、ぎこちなくなるだけだ。せいぜい1本か2本だろう。コミュニケーションも同じで、1本の杖があれば十分だし、それが自然なのである。

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ITブレークスルーは、所得格差の二極分解に歯止めをかけ、悪平等社会ではない、多様性のある中間層で満ち溢れた活気ある日本作りに貢献したいと思っています。

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