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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

5月7日 聞き上手~プレゼンが苦手な人はぜひ読んでください(#349)

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松下幸之助さんは、話し上手より聞き上手のほうが得であり、これは昔の人々の教えであると、昭和37年に講演されているようです。

私が生まれる1年前ですが、当時でさえ話し上手のほうが上と見られていたということなのかもしれません。

私は、月に1回定期的に日刊工業新聞ビジネスリーダーズアカデミーというところでお話させていただいています。営業の基礎講座です。そちらでも聞き上手なほうが営業はうまいくという話をし、本格的な聞き方をお伝えしています。

このような講座をやらせてもらっていて感じるのは、本当の意味で聞くことの大切が分かっている人は少ないということです。

基本中の基本なのになあ・・・と思っていたのですが、考えたら私も最初に聞いたのが2005年のことでして、そのときは目からウロコだったのです。

というのも、その話を聞いたのが、プレゼンを学びにいったセミナーだったからです。

当時、私は営業をしていました。パートナー企業がビッグサイトの展示会でブースを出すので、販促のためのミニセミナーをやらないかという打診があり、引き受けたのはいいのですが、私自身は人前で話をすることに苦手意識がありました。

それを払拭したくて、たまたま目にした水野浩志さんの「高品質セミナー作成講座」に参加しました。プレゼンのセミナーではないのですが、教材の作り方から何から教えてくれるということなので、それはお得だと思い、参加したのです。

そのときに聞いたのが、「セミナー講師の心得は、聞くが9、話すが1」という言葉。私は話ベタだと思っていたのですが、実は「聞くこと」ができていなかったのだと分かり、プレゼンに開眼することができたのです。

実際、ビッグサイトのミニセミナーは、小さなブースでしたが、立ち見ができるという盛況ぶりで、聞くことの大切さを私は思い知りました。

以降、多くの営業コンサルタントに会いましたが、昔トップ営業だった彼らが口をそろえて、「聞くほうが話すより何十倍も大切」というので、それは本当にそうだろうと思うようになりました。

営業なら分かるけれど、講師やプレゼンターが何を聞くのか?質疑応答のことか?といぶかる人がいるかもしれません。

講師などの場合は、聴衆の反応を常に「聞く」のです。反応が鈍い人がいたら、その人と会いコンタクトを取ったり、場合によっては「眠いですか?」と聞いてみてもよい。

聴衆の反応に9割の神経を集中し、話すほうは残り1割で臨むぐらいの気持ちでちょうどよいという意味です。

それでは、元々話ベタな人間はますますしどろもどろになるのではないかと思うかもしれませんが、それは完璧に話そうとするから。

日常会話で盛り上がっているときに、あなたは完璧な言葉を話していますか?そんなことはないでしょう。流れや空気に乗っていれば、たとえあなたが一言も話さないでも楽しいはずです。

場が盛り上がれば、話はスムーズに出てきます。逆に、話で場を盛り上げるのは相当の話術が必要で、そちらを目指すのは勝手ですが、少なくとも我々レベルの話術では、そちらにもたれかからないほうがコンスタントにうまくいくはずです。

いや、話のプロの落語家だって、先にやろうとするのは場の盛り上げ。あるいは場全体を話者の自分自身に集中させるということ。我々素人がその部分を怠っては、よいプレゼンや講演には絶対になりえません。

さて、セミナーや講演においてもこのとおりです。営業マンが自分の話術で、お客様に買う決心をさせようなんて100年早い。まずは、相手の反応をしっかり観察することです。そのための手段が質問だったり、相づちだったり、とにかく聞くための手法なのです。

今日の一言)聞くとは相手の反応を見るということ。一方的な講演や営業は必ず失敗する。

本年の一日一言は、『松下幸之助 成功の金言365』を毎日1ページずつ読んで、自問自答するという趣向です。

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