誰でも人に共感される話を作れる方法(#212)
Q)どうやったら人に共感される話が作れますか?
理念やビジョンがないと共感されずビジネスがうまくいかないと、いろいろな経営者やマネジャーに言い続けています。なので、この質問はよくされます。
話を作るといっても、ウソを言うという意味ではなく、組み立てるぐらいの意味です。
もう5年ぐらい前でしょうか。ヨメと一緒に井の頭公園で花見をしたことがあります。吉祥寺です。学生だらけです。隣のグループも学生でした。
酔った勢いでギターの弾き語りを始めた男子学生がいました。軽音楽系のサークルに入っているのでしょう。酔っている割には、歌もギターもまともでそれほどの迷惑には感じませんでした。
仲間も最初は手拍子をしたりしていましたが、1分ぐらいでなくなりました。
ヨメが言いました。「歌詞が概念的すぎて、まったく感情移入できないね」
たしかに愛だの友情だの青春の孤独だの歌っていたようですが、まるで哲学の講義のようで、聞いていてもまったく頭の中に入ってきません。
抽象的、概念的なことは、特殊な専門家の中でしか共感されません。
ならば具体的ならいいのでしょうか?
抽象的よりは具体的なほうが共感はされやすい。イメージが沸くからです。
しかし、他人事(ひとごと)だと、共感はしづらい。
一番いいのは、自分自身の話ですが、しかしながら、いま悩んでいるというような話ではなく、悩みを経ていまはこんなによくなったという話がいい、というのは先日書きました。
自分自身の話でなくても構いません。その場所にいて、自分が見たということでもいいのです。
体験でも見聞でも、大事なのは自分がいたということなのです。
『ノルウェイの森』は、村上春樹氏は書きたくなかった小説なんだそうです。だから、彼の代表作というのはどうかと思いますが、それでもずっと読み続けられているのは、なんとなく村上氏自身の体験を踏まえていると感じるからではないでしょうか。
今日の一言)共感される話を作るのであれば、抽象的・概念的なのはダメ。具体的でも他人事ならイマイチ。自分の体験でも見聞でも、自分が入っているものが最上。
私も以前は、具体例のない概念だけの話をよく書いていました。あるいは、人の体験で理屈を組み立てたりもしていました。
そうしている間はコンサルタントとしてはうまくいきません。現場の話を書けないコンサルは、本当にコンサルしているのかと疑われるからです。
ただでもいいから事例を作って、現場の話をするということを心がけるようになってから、軌道に乗り始めました。
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