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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

中国人が本気でブランド作りに励みだしたら、ということを考えると・・・(#186)

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最初は「コピー」でもいいが、最後は「ブランドを作る」ことを考えよう。

村上春樹氏の『1Q84』の電子書籍化問題で、またまた中国の海賊版や不法コピーの問題が取りざたされています。

著作権の侵害で被害を被っている方には、今日の私の話は到底肯定できない部分もあるとは思いますが、まあ、違う見方もあるということでお許しください。もちろん、権利を主張される方は堂々と主張なさればいいと思っていることも先に申し添えておきます。

●「フリー時代」の助け舟という見方もできる

日本の小説やアニメ、楽曲が中国で不正にコピーされたり、勝手に翻訳されたりして出回っている。著作権者や版元にはたまったものではない、というのは理解できます。

ただ、単純に権利侵害の損だけで考えるのは一面的かも知れません。

たとえば音楽で考えると、その分CDが売れずに損をしたと考えるのはもっともなことと思いますが、逆に勝手に宣伝してくれていると思うと得をしている部分もあります。

この辺は議論が別れるところなので、どちらが正しいとは言いませんし、私には言えません。

ただ、コンサートのチケットやグッズの売上を考えると、音楽コンテンツそのものはフリー(無料&自由)で配布してもいいと考えるミュージシャンも多くいるということだけは指摘しておきたいと思います。

実際、中国での海賊版を宣伝効果ということで考えると、損をしている人より得をしている人がはるかに多いという試算をしている学者もいるようです。

モノゴトには少なくとも二つの見方があるということだけは心得ておきたいところです。

●そんなことよりも

こんなことを言う私でも、中国で日本のアニメやマンガが勝手に商標登録されているのは、ふざけるなと思いますし、これに関しては政府はもっと真剣にコトにあたるべきだと思います。

しかし、このことに関しても、中国人がこんな程度の低いことをやっている間は、まだ安心だと思ったりもします。

怖いのは、中国人のマインドが、コピーという安易なことに技術を投入している暇があるのなら本気でブランド作りに励むべきだ、という方向に変わることではないでしょうか?

以前、高級時計のコピーについて調べたことがあるのですが、その技術には恐るべきものがあります。コピー製品にもピンキリがあって、その最上級のものに使われている技術は、本場スイスに匹敵するものもあるのだとか。

これは、洋服やバッグなどにも同じことが言えるのではないでしょうか。

たとえばユニクロの縫製は中国の工場でなされているのは有名ですが、実に技術が高い。「安かろう悪かろう」ではなく、「安くて良い」なのです。

世界でも器用で有名な日本人に対して、中国の縫製工場では、日本人が不器用だから私たちが縫っていると工員たちが言っているとの噂さえもあります。

そのぐらい中国の技術は高まっています。

その中国が、国策として本気でブランド作りに励みだしたら・・・。

考えるだに恐ろしいのは私だけでしょうか?

●議論したかったのは、中国の海賊盤の是非ではなく

さて、中国の海賊版について考えてきましたが、私には結論は出せませんし、そもそも議論したかったのは、このことではないのです。

単に、「中国が本気でブランド作りに励みだした」ときの恐ろしさを想起してもらいたかったのです。

これって、中小企業も同じではないでしょうか?

下請であったり、コピー的な製品を作っている間は、大した驚異ではない。しかし、ブランドが作られた瞬間、驚異的な企業になる。

※ここでいう「コピー」とは、他の会社でもやっているようなサービスをすることも含んでいます。しかし、たとえばエリアを限定するだけでも、「コピー」ではなくなります。

ちょっと強引だったかもしれませんが、最近多くの中小企業の経営者から相談を受けるようになり、確信するようになりました。ブランディングが本当に大切なんだと。

とにかく「ブランド」を作り出さないと、市場で勝てる要素が見い出せないのです。

我が333営業塾塾長吉見範一さんは、ブランドとは焼印のことで、脳にジュッと刻み込まれるものなのだといいます。

顧客の脳の中で一定の地位を占めないと、これからの中小企業は生き残っていけないのではないかと思います。

そのためには、「誰に」「何を」「なぜ」提供しているのかということ(私のいう「自分軸」)を、もっともっと明確にすべきではないでしょうか。

ここに来て、中小IT企業からの相談を受けることが増えており、ここ数ヶ月の新規顧問先は、すべてIT企業という状況です。

そこで、中小IT企業の経営者あるいは営業マネージャ限定のセミナーを開催することにしました。

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