誤解を恐れずに言うと、「一生そばにいる」ということがビジネスにさえなるのだ(#179)
人は、どんなときも、決して一人ではない(福島正伸)
福島正伸先生の会社であるアントレプレナーセンターから、先生の新作『僕の人生を変えた29通の手紙』を贈っていただきました。
福島先生らしさのあふれた作品で、私は引き込まれてしまい、数時間で読み終えてしまいました。
福島先生に対して、同じコンテンツをいろんな切り口で再利用しているだけという悪口も言う人もいるかもしれません。
しかし、切り口を変えるというのは、言ってみれば料理の仕方を変えるということです。このような悪口は、焼き鳥屋が、同じ鶏皮を、焼いたり、ポン酢和えにしたり、揚げ物にしたりするのが気に入らないと言っているのと同じです。
美味しければ、どんな料理法でもよいではないですか。
●簡単な本の紹介です
同書は、30歳を目前としたサラリーマンの1年間の成長物語です。
主人公は、あらゆることを人のせいにし、それが原因で仕事にやりがいを感じない男です。しかし、性格はけっして悪くない。どちらかというとやさしいし、マジメでもある。
私も30歳前、どころかつい数年前までは、似たような感じでした。
そんな彼のところにある日、「どんな仕事も 自分らしくやれば 夢になる」とだけ書かれた手紙が届きます。封筒には宛名もなにもないので、誰かが直接ポストに入れている・・・。
これをきっかけに、主人公が変わり始める。このような手紙が、1年間で29通届く。そのときにはもう別人のようになっている、という話です。
こう書くと、なんだかありきたりですが、これがけっこう面白い。
誰が手紙を届けているのかというミステリー仕立ての展開がまず面白い。ちなみに、「誰」はすぐ分かるのですが、その真相はけっこう意外です。
途中から巻き込まれるトラブルがどう展開していくのかも気になります。このトラブルもどんなトラブルなのかは、なぜか伏せられています。
読ませるツボを心得ているという感じで、サービス精神にあふれた作品です。
今回は、「はじめに」でスタッフの力でできた作品だと明確に書かれていました。スタッフの苦労に感謝です。
●孤独は、自分以外には作れない
あまり内容に深入りするとネタばれになり、これから読もうという方の興趣をそぐことになるでしょう。
この辺で私が一番得たことをお伝えして終わりたいと思います。
私自身は、福島先生に師事したことがあるとはいえ、けっして優秀な生徒ではなく、すぐにそんなキレイゴトでうまくいくもんかと思う人間です。そんなこともあり、毎日自分に言い聞かせるために、このブログも書いています。
こうしてたまに福島先生の作品を読むと、キレイゴトと思うことに、やっぱり真実があるんだと思い直すことができます。
要するに、私は、現実と真実を一致させようとしては、うまくいかずにその両方を行ったり来たりしている人間です。そのような人間には、福島先生の作品は響くのです。それは、たぶん福島先生も同じだろうから。
その福島先生が、「おわりに」の最後に書いていたのが、冒頭の言葉です。
「おわりに」には、次のメッセージもありました。冒頭の言葉と関連しています。
そして、最も人が成長できるのが、他人との関わり合いの中です。そこで悩めば悩むほど、人は大きな成長をすることができます。悩み抜いていきついたところで、自分がたくさんの愛に囲まれていたことに気がつくのです。
(前掲書)
悩んでいるときは、自分が孤独だと思いがち、いや、思いたくなるんですね。しかし、実際は孤独ということはない。どんな人でも誰か見てくれている人がいるものです。
それに気づけば早く立ち直れるのだけど、悩みが深いほど、殻(「箱」という人たちもいます)を作って、そこから出て行きたくなくなる。
そんなときでも寄り添ってくれると実感できる存在ぐらいありがたいものはない。
「一生そばにいる」という表明が一番の励ましになるということです。私は、それを再確認しました。
誤解を恐れずに言うと、福島正伸先生は、「一生そばにいる」ということをビジネスにまでしてしまった方だとも言えます。
稀有な人だと思います。