カメラは楽しい (4):OLYMPUS PEN Liteでオールドレンズ - オールドレンズを電子化する電子マウントチップDandelionを、M42マウントで試してみた
- カメラは楽しい:OLYMPUS PEN Liteを買いました
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- カメラは楽しい (3):OLYMPUS PEN Liteでオールドレンズ - M42レンズは昭和の味がした
の続きです。
最近、ebayではAF Confirm Chip(電子マウントチップ)というのを見かけます。どうやらこれを付けると、マニュアルフォーカスなレンズをつかっていても、フォーカスエイドが機能し、ピントが合った時点でファインダー内のフォーカスランプが点灯して、ピピッと電子音が鳴るとのこと。さっそく試してみました。
電子マウントチップDandelion(たんぽぽ)
その電子マウントチップの名前はDandelionといいます。もともとは、2005年にロシアのVictor LushnikovというエンジニアがキャノンのEOS用に開発したのが始まりです。その後、別の有志によってフォーサーズ、マイクロフォーサーズ用のDandelionチップが開発され、現在では、ロシア製、中国製などの、いろんなタイプのDandelionチップが出回っています。1チップ、20-30ドル程度で売られています。ebay.comなどでは、af confirm adapterという、チップがすでに付けられた各種マウントアダプタも売っていますが、チップだけを買って自分の好きなマウントアダプタに接着するというのが、安上がりでお勧めです。
私が購入したのはebayで、Googleで"AF Chip Dandelion Olympus"などと検索すると見つかると思います。ロシアから配送されてきたものでした。私の購入したのは、フォーサーズとマイクロフォーサーズ兼用のもので、peleng8.comで売っているAF Chip Dandelionと同じもののようでした。
DandelionをM42マウントアダプタに付ける
届いたものはこれだけ。ロシアからの配達は始めての経験でした。ビニール袋に、簡単な説明書の紙一枚、土台のプラスチック一枚、電子マウントICチップ一枚。これを任意のマウントアダプタに付けることで、そのマウントアダプタに付けるマニュアルレンズで、フォーカスエイドが効くようになります。
土台のプラスチックをマウントに接着してから、チップを垂直になるように(土台とチップがL字型になるように)接着します。
今回は、前回使ったM42マウントアダプタにチップを付けてみました。接着後は、こんな感じです。7つの金色のピンがマイクロフォーサーズのカメラ本体のピンと接触することでM42マウントのレンズでもフォーカスエイドが効くようになります。
チップを接着する前に、このM42マウントアダプタをカメラに付けてみて、白いマジックで、真ん中、右端、左端のピンに印を付けておきます。その印を目安にチップとM42マウントアダプタを接着します。
重要なのが、チップが少しでもずれていると、カメラ本体の端子とチップの端子がうまくあわなくなるため、チップが動作しません。(最悪、液晶からは何も表示されなくなります。その場合、正しい位置になおして再度接着しなおす必要があります。)なので、接着は細心の注意を払って正しい位置で接着する必要があります。はじめは瞬間接着剤などで仮接着するといいかもしれません。私は最終的には、エポキシパテでがちがちに接着しています。
F値と焦点距離のプログラミング
次に、チップに、装着するレンズのF値と焦点距離をプログラムします。
チップをマウントアダプタに接着したら、マウントアダプタをカメラに接続し、カメラの電源をオンにして、カメラを絞り優先モード(Aモード)にします。
以下の手順でプログラムをします。
1.プログラムモードにする
カメラのレンズ取り外しボタンを押して、2.5秒以内にプレビューボタンを10秒押します。
2. レンズのF値を設定
例えば、F1.8のレンズの場合は、カメラで、
1)F4.0を選択 -> レンズ取り外しボタンを押す
2)F4.5を選択(1という意味) -> レンズ取り外しボタンを押す
3)F10を選択(8という意味) -> レンズ取り外しボタンを押す
3. レンズの焦点距離を設定
例えば、50mmのレンズの場合は、カメラで、
1)F5.6を選択 -> レンズ取り外しボタンを押す
2)F4.0を選択(0という意味) -> レンズ取り外しボタンを押す
3)F4.0を選択(0という意味) -> レンズ取り外しボタンを押す
4)F4.0を選択(0という意味) -> レンズ取り外しボタンを押す
5)F7.1を選択(5という意味) -> レンズ取り外しボタンを押す
6)F4.0を選択(0という意味) -> レンズ取り外しボタンを押す
基本的には、プログラムモードに入ってからは、コマンド + データ値の入力という手順で設定していきます。例えば、上記の通り、レンズのF値を設定するコマンドは、「カメラでF5.6を選択 -> レンズ取り外しボタンを押す」を行い、そのあとデータ値を2桁入力します。また、レンズの焦点距離を設定するコマンドは「カメラでF5.6を選択 -> レンズ取り外しボタンを押す」で、そのあと5桁のデータ値を入力します。
データ値の入力は、「カメラの絞り値を選択 -> レンズ取り外しボタンを押す」ということで1桁のデータ値入力が行えます。カメラの絞り値と、対応する数値は以下のとおりです。
絞り値 -> 対応する値
F4.0 -> 0
F4.5 -> 1
F5.0 -> 2
F5.6 -> 3
F6.3 -> 4
F7.1 -> 5
F8.0 -> 6
F9.0 -> 7
F10 -> 8
F11 -> 9
これらDandelionチップにプログラミングされた値は、撮影された写真のEXIFデータに挿入されます。
試しに撮ってみた
今回はM42マウントのレンズPentacon F1.8 50mmを、DandelionチップをM42マウントアダプタに接続して、OLYMPUS PEN Lite E-PL1で撮ってみました。
シャッターボタンを半押ししながら、レンズのフォーカスリングをまわしてピントを合わせます。ピントが合うと、ピピッと音がして右上に緑の丸が表示されます。また、液晶モニタにはF 1.8と表示され、Dandelionチップを通して、レンズのF値がF1.8に設定されていることがわかります。撮影された写真のEXIFデータには、F1.8と焦点距離50mmというのが書き込まれています。
ひとつ問題が
実は、ひとつ気がついたことがあります。ピントが合うと、ピピッと音がして右上に緑の丸が表示されるのはいいんですが、そのままレンズのフォーカスリングをさらに回してピントが合わなくなっても、シャッターボタンを半押しにし続けているかぎり、緑の丸は点灯しっぱなしになってしまいます。(シャッターボタンを離すと、緑の丸も消えるんですが。。。) これは、OLYMPUS PENのみで発生する問題なのかもしれませんが、これはイマイチってところでしょうか。
さてDandelionはOLYMPUS PENユーザーにとって買い?
DandelionはOLYMPUS PENユーザーにとっては買いなのでしょうか?だいたい以下のことが便利と感じるなら買いではないでしょうか?
- 撮った写真のEXIFデータにレンズの情報(F値、焦点距離、さらにはレンズの名前)を入れたい
- マニュアルのレンズでもフォーカスが合ったら自動でカメラで感知させたい
私の場合は、まあ、Dandelionあったら便利、まあなかったらなくてもいいかなって感じでしょうか。テクノロジーとしては非常におもしろいと思いました。こういう、わくわくする電子系小物、もっと出てくるといいですね。