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米国東海岸発、とあるソフトウェア開発者のよもやま話

カラダデバッグ (1):なぜだかわからないのにカラダの調子悪くありませんか?「頭痛が痛い」が全てのはじまり

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なぜだかわからないのにカラダの調子悪くありませんか?ヘルシーでいるということは、ソフトウェアのデバッグとかなり似ているんじゃないかと思うようになりました。ということで、ソフトウェアエンジニアから見たカラダデバッグ手法の話をしばしばお話していきたいと思います。

頭痛が痛い

「頭痛が痛い(ずつうがいたい)とは、頭痛に苦しむ人間が混乱するさまである。」

引用元:頭痛が痛い - アンサイクロペディア
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E9%A0%AD%E7%97%9B%E3%81%8C%E7%97%9B%E3%81%84

3、4年前くらいのこと、その時の私は、たまに起こる頭痛に悩まされていました。ある日、とうとうたまりかねて、病院に行くことにしました。アメリカで仕事をするようになって、10年以上も経っていましたが、病院へ行くのは初めてのことでした。近くの総合病院のneurologist(神経科医)に予約を取り、頭痛について診てもらいました。しかし、原因はわからずじまい。で、そのお医者さんにアメリカでの受診の仕方を初めて教わり、主治医もそのときに決めてもらいました。

アメリカの受診の仕方

ところで、アメリカと日本では医師の受診の仕方が全然違います。基本的に、アメリカでは、PCP (Primary Care Physician)、つまり主治医を決めて、そのPCPに最初に診てもらいます。で、PCPが、その症状を診て、専門医を紹介し、細かい検査、受診をします。ということで、私の突然専門医に診てもらったというのはかなりレアなことのようです。ちなみに主治医に電話で予約を入れる場合、だいたい1週間とか予約にかかります。緊急の場合は、主治医ではなく、ER (Emergency Room)に行くということになります。基本的には1週間待てないといった場合はERに行くということになります。なので別に生死にかかわる症状でなくてもERに行きます。が、たいていERに行く場合、診療費は高くつきます。

胸が痛い

それからしばらくして、また別のある日、今度は動悸が。主治医に電話をかけると、エマージェンシーだったらER(Emergency Room)に行ってと言われ、ERに行きました。で、心電図などをとったのですが、異常なし。その後に、PCPに検査してもらいました。まずは最初にということで、血液検査をしました。これも異常なし。頭痛も動悸も結局原因がわかりませんでした。

なんとなく調子が悪いのは何故なのか

なんとなく調子が悪い、でも検査は以上なし。なんだかかなりはっきりしません。ということで、血液検査の結果を自分で調べてみました。で、血液検査の項目をひとつひとつ見ていったわけです。それぞれの項目が全て英語なので、それぞれをwebで検索しました。ここで問題をひとつ発見。私のfasting glucose (空腹時血糖値) が高めなのです。

高めの空腹時血糖値、つまりメタボ

血糖値というのは血液に含まれているglucose(ブドウ糖)の濃度です。炭水化物の含まれている食物を食べると、炭水化物はブドウ糖に変換され、血液中に流れ、それがカラダのエネルギーになります。ただし体でそのブドウ糖吸収しきれずに、血液中に余ってしまうと、それが血管にダメージをあたえ、最終的には、動脈硬化、心筋梗塞や狭心症といった心臓の病気、脳梗塞のような脳の病気になります。その血管に含まれるブドウ糖の値が血糖値が呼ばれます。血糖値の異常が病気になったとき、それが糖尿病です。

血糖値と糖尿病、アメリカの基準と日本の基準

アメリカと日本では、健康の基準値が違います。例えば、血糖値、糖尿病の基準は以下のようになっています。
日本では、

  正常域 糖尿病域
空腹時血糖値 < 110 >= 126
75g OGTT 2時間値 < 140 >= 200
75g OGTT の判定 両者を満たすものを正常型とする いずれかをみたすものを糖尿病型とする
  正常型にも糖尿病型にも属さないものを境界型とする

科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013
http://www.jds.or.jp/modules/publication/?content_id=4

アメリカでは、

  正常域 (Normal) プレ糖尿病域 (Prediabetes) 糖尿病域 (Diabetes)
HbA1C < 5.7 >= 5.7 >= 6.5
空腹時血糖値 < 100 >= 100 >= 126
75g OGTT 2時間値 < 140 >= 140 >= 200

Diagnosing Diabetes and Learning About Prediabetes
http://www.diabetes.org/diabetes-basics/diagnosis/

かなり違いますね。特に空腹時血糖値が100台の人は、日本では正常域と定義されていますが、アメリカでは正常域ではなく、prediabtes(プレ糖尿病)です。

これは人種の違いというよりも、どう基準をとるか、どこで線引きをするかの考え方が、それぞれの国で、日本とアメリカで、違うということではないかと思います。

栄養士さんを紹介してもらう

ということで、私の空腹時血糖値がちょっと高めかもねということで、念のため栄養士さん(nutritionist)を紹介してもらい、ミーティング。栄養士さんの私のちょっと高めの血糖値に対するサジェスチョンはcarbohydrate aware、つまり炭水化物の量を意識して食事すること、具体的には、以下のようなものでした。

岡本のメニュー:

  • 60g or less per meal (食事あたり60gかそれ以下の炭水化物)
  • 30g or less per snack (おやつあたり30gかそれ以下の炭水化物)
  • at least 2 hours between any meal + snack (食事とおやつの間は少なくとも2時間あけること)

このおかげで、2、3ヶ月後、血糖値は正常域になりました。私の場合、ちょっと血糖値が高めということだったので、このくらいの食事制限で、血糖値が改善したのかもしれません。考えてみれば、このころは夜はアルコール&スナック、運動なし、夜遅くまでお仕事の日々でした。特にアメリカは車通勤なので運動不足もその原因だったでしょう。最近では、有酸素運動、無酸素運動なども取り入れるようしています。頭痛や動悸は結局原因がわかりませんでしたが、食生活の改善、運動の追加により、今や体調は良い感じ。頭痛や動悸もいつのまにか消えてしまいました。

やっぱり健康診断で血液検査くらいは一年に一度しておいたほうがいいかも

日本では、社員に健康診断を年に1度義務ずけている会社も多くあると思います。それに比べ、海外の会社で健康診断を義務ずけている会社はめずらしいです。海外のエンジニアの方、会社で健康診断を義務ずけられていない方、気をつけて下さい。年に一度は健康診断うけておいたほうがいいですよ。

ソフトウェアの開発プロセスと健康管理ってかなり似ているんじゃない?

この一連の健康問題を通して思ったんですが、健康管理ってソフトウェア開発プロセスに非常によく似ています。
例えばソフトウェアのオプティマイゼーション(最適化)。ソフトウェアのパフォーマンスを上げるには、まずは、パフォーマンスの評価から始めます。一般的には、プロファイラなどを使って、速度に問題があるコードを見つけ出します。そして、目指す速度のターゲットを決めて、そのパフォーマンスになるまで、コードを直していきます。で、健康管理ってやっぱりおなじじゃないかと。血液検査などで、問題がある部分を見つけ出します。そして、ある項目のゴールを決めて、食事などをコントロールして、最適な血液検査の結果を実現していくと。ソフトウェア開発プロセスと似て、健康管理、かなりロジカルにできるんじゃないかと思います。

というわけで

この件のおかげで、最近の関心ごとと言えば、ヘルス&ダイエットになってしまいました。(ちなみにここで言うダイエットというのは、やせるということではなく、食事ということです。)というわけで、いろんなヘルス&ダイエットがらみの話、続きます。

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