ヘンな研修
7月1日、2日と、「SEのための業務分析」という研修を行いました。
これは、あるIT上場企業で4年ほど続けさせていただいているものです。
ひとことで言うと、「現場に行ってもいないのに、あるいは顧客業務をチラっとしか見ていないのに、何か与えられた文書だけ見て、DFDやらかんやら、見栄えばっかりいいものを作るんじゃぁねぇぞ」「たとえば、税金使う官庁の仕事とかで、しっかりとした動くシステムを作らずに、結局誰も真剣にレビューしない、カサ上げだけの文書ばかりつくりやがったら、タダじゃおかねぇぞ」ということをニッコリ笑顔でお伝えしているヘンな研修です。ムカつく受講生も多いかも知れませんw。
内容的には、「やさしい」「初心者向け」になると思います。
しかし、ここでお伝えしている内容を本当に実現する事は経験上、至難の技でした。
そしてその事実こそが、多くの業務システム開発プロジェクトが成功しないと言われている要因だと思っています。
多くの人々が、「内容の理解の簡単さ」と「その理解の実現度」に大きな乖離があることから目を背けている様に見えます。私はいくつかの業界、業種を経験しましたが、IT業界は特にそういう印象が強いです。
そして頭で理解できている自分を「(実際にも)出来ている」「上位」だと思っている。学校ではほぼそうなりますが(理解=出来ている)、実際のモノ作りでは違います。
それは、楽器と音楽理論をおおよそ知識として知っていたとしても、いきなり生バンドに入ってアドリブ演奏などをすることはできないのに似ています。それどころか、適切なタイミングで適切な音をひとつ、鳴らすことすらできなかったりするものです。
そんな訳で、元々自分たちの業務システム開発という仕事そのものも、たいして業務分析できていないかもしれないという事実なども含め、一定以上の強い意思を持って、効果的な現場見学やヒアリングなどの実現を目指せるように、業務分析のあるべき姿をよく考え、実現することがどれほど大切かということを、私なりにお伝えしています。
その意味では、業務システム開発開発プロジェクトを長期に渡って行なってきてはいるが、「ひとりプロジェクト」や「何から何まで上手くいくプロジェクト」を経験したことがなかったり、「仕様変更は当たり前」などと考えている、ほとんどの業務システム開発の業界の人々が対象の「やさしい(しかし、実現は極めて難しい)」「ベテラン向け」研修とも思っています。
研修というよりは、少し立ち止まって自分達の仕事を良く思い起こしてみる時間になれば、という感じですが、一応、技法というほどではない、実現のための細かなヒントはお伝えしているつもりです。