マネジメントによる成功は、ほとんどなかった?
前回、「『マネジメントによる成功は、ほとんどなかった』のではないか、と感じることがあります」と書きました。これは、一定以上の規模の業務システム開発をイメージしての記述です。
国内のIT企業のほとんどがプロジェクト・ネットワーク図を使っていないことから見ても、それほどズレた言い方ではないと考えています。
PMBOKで、スケジュール・ベースラインを作る過程の個々のプロセスの中で、ツールと技法として、バーチャート(ガントチャート)は書かれていません。計画考案の過程で出てくるツールと技法は「プロジェクト・ネットワーク図」です。
一定以上複雑な活動で「プロジェクト・ネットワーク図」を使っていないということは、少なくともPMBOKが言うところの「計画」を理解しているとは言えないと思ってますし、それはすなわちPMBOKが言うところのプロジェクトマネジメントを理解しているとは言えないのではないかと思います。
あくまで伝聞ですが、そもそもPMBOKなどが注目されるキッカケとなった、某外資系I社では、「プロジェクト・ネットワーク図は必須としている」と耳にします。
「バーチャート(ガントチャート)」は、あくまで「スケジューリング作業(思考)の結果」を見やすくするための表現方法の一つであって、直接的に計画を考案する活動(アクティビティ順序設定など)をサポートする思考ツールという意味においては効果の低いものです。
プロジェクト・ネットワーク図を使わずに行っている計画は、ちょうど過去問題による受験勉強のように「これまで得た知識や経験などのデータベース」からの出力による解決であって、目の前にある対象の情報を中心に最小限のロジックだけで最適化を実現するプロセスを考案しているのとは違うはずだからです。
他に、プロジェクト・ネットワーク図がなかなか用いられるようにならない理由として、
・ ちょっとした簡単な成果を得るための「計画」と、一定以上複雑な成果を複数の要員で協力しあってビジネスとして実現したいような場合(プロジェクト)に行う「計画」とは、同じ「計画」でも、「全く」と言ってよいほど、違う思考活動であるという認識が希薄。
・ 一定以上複雑な成果を複数の要員で協力しあって実現したい場合(プロジェクト)に行う「計画法」を学ぶことがほとんどない。
・ 計画法を学んでも一般に実行される機会がなく、その効果が知られていない。
・ 効果が知られていないため、初期段階にかかる負荷が大きいために、行われにくい
などが挙げられます。