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やっぱり基本が大事(自衛官の頃、朝礼で)

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 ブログをやらせていただくようになって、「やっぱり」と思っているのですが、書き始めるとやたらと長くなってしまいます。今回も4倍ぐらい書いてから今回の文に落ち着きました。その割に、大した文章ではないとしても、それはご勘弁ください。

長い訓辞と短い訓辞

 だいたい、話が上手な人は話が短いというのが通例です。
 これは自衛隊の高校(少年工科学校)時代の話ですが、校長がいて、その配下に生徒達(正式な自衛官です)のまとめ役ということで「生徒隊長」がいました。
 月に1回の全校朝礼など(最後は観閲行進をしたりします)では二人とも訓辞を述べます。
 校長はいつも長めで10分ぐらい(それでも今になって考えると、ものすごく短いと思います)。
 ところが、その後の生徒隊長が、本当に二言、三言ポイントを言ったかと思うと、「以上。」とあっさり1,2分で終わるわけです。いえ、1分にも満たないこともあった気がします。
 着任されてから数回までは、皆、「えっ?ホントにもう終わりなの?」と状況を理解するのに時間がかかるぐらいでした。確か最初は敬礼の号令(「かしらぁ〜、なかぁっ!」あるいは「ささ〜げ〜、つぅ〜つっ!」っていうやつです)をかける人もとまどっていたという記憶があります。
 みな、16才から18才ぐらいの、つまるところ高校生です(私服になると、結構アブナイ奴らもいます...かね?、ギリギリこっちだな?とか..、まぁそんな感じ..。わかりますよね?)。だんだん、「いいぜ〜、あの人」とか「おれ、あの人だったら、ついてくぜ」みたいなムードができてきまして、「い、いったいこのムードはなんなんだ!?」と驚いたことがありました。750人から1000人近くが月1回の数分を数回繰り返しただけでそういうムードになっているワケです。これはスゴイ。ものすごく効率もイイ。
 他にも重要な要素がありました。まず敬礼がカッコイイし、登壇前後の動きも(当然ですが)スムーズ。あと、声も割と低音でイイんですね。敬礼に対して答礼する際の「ごくろうさん!」という言葉が、なんだか自分たち子供に対しても、本気で言っている様に聞こえる。
 反対に、中には配下の者からの敬礼に対して、わけのわからない崩れた敬礼を返す(答礼)人もいるのですが、これ一発で中隊全体が「あ〜あ...(グッタリ)」となってしまったりもするわけです。これはその場にいると不思議なほどです。「集団」というのはとても興味深いといいますか、不思議です。

 私の直接の上官(小隊長に当たる人)は、銃剣道日本一(選手、監督ともに)とか機関銃射撃大会優勝とかスゴイ経歴の持ち主の、まさに「叩き上げ幹部」でしたが、やはり敬礼がビシっ、背筋もビシっとしているというのが印象でした。私はダメ生徒で、当直になって命令受領に行くたびに、この上官に叱られてましたので、一度も叱られずに当直を下番するのがしばらく目標でした。

 「基本は大事だなぁ」と、そして「自分は相変わらず全然だなぁ」と、当時を思い出す度に身がひきしまります。
(何かの機会がある時にリクエストいただければ、各敬礼の違いについては、実演でご説明します。米海兵隊の敬礼も、またこれが日本とは全然違ったりします)。

「急がば回れ」

 さあ、この長い(!)前置きで、何が言いたかったかと言いますと、 システム開発の世界で感じたことなんですが、簡単です。「基本が大事」ということです。
 わりと学生時代にイメージしていたとおりの「基本動作」が大事であって、実社会での実務では、不思議とその基本をきちんとやることを避けようとする力が働くということです。自衛隊では「基本動作」は徹底的に訓練させられます(簡単そうに見えるモノでも、実際やるのは結構難しいんですヨ)。
 沢山の事例から1つだけ挙げますと、上場企業や官庁のシステム開発で、最初からすんなり現場見学、ヒアリングが受け入れられたことは、私の場合「1度も」ありませんでした。
 でもやっぱりその基本から逸れようする力を何とかしながら、「基本」と思えることをなるべく正面から行っていくのが、一見時間がかかりそうでいて、実は最も速く、かつ品質の良いものが実現できます。不思議なんですが、「急がば回れ、とは良く言ったものだ」と。

校長の訓辞についての後日談:
 昨年2009年、入校30周年記念に校長も参加され、入校式の訓辞の原稿を紹介されました。今聞くとウルっとくるほど、良いことを言われていました...。 2次会では同期が口々に「良いこと言っていたんだなぁ...」と。確かに聞いた記憶もありました... その時には意味が分からないものなんですねぇ... これも人間の不思議。

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