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「実践は違う」という、その実践こそが「害」かも...

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 上位マネジメントの仕事の進め方に関する情報(※1)も、蓄積され、データベース化されているのは多くの場合、配下の者の方に、でした。
(※1: 上位マネジメントの属人性も含みます。現場の実務者一人ひとりの属人性より、上位マネジメントの属人性の方がずっと影響が大きいと思いますが、不思議と話題になってこなかった様に思います。属人性については、また近いうちに...)
 
 一概に「良い、悪い」というものではなく、日本文化の良い側面を形成する重要な部分であるとも思います。

 この事実は見方を変えると、上位マネジメントが自分自身の仕事の進め方をわかりやすい文章や言葉によって、配下にキチンと理解できるように伝える事に関する蓄積、データベース化は長い間、行われずに来たということを意味するのではないでしょうか?

 ですから、PMBOKの文章のひとつひとつを生み出すことが、どれほど大変だったか、どういう成り行きであの表現になっているのか、という事に思いを巡らす事もあまりなく、まずはリスペクト、という流れにもならないまま「PMBOKは理論であって、実践は違う。使えない」と言うような議論が安易に行われてしまう場合がしばしばなのは、仕方のないこととなのではないかと思っています。
 「PMBOKは使える」と反論したいのでもなくて「私にとっては、うまく行った実務経験の塊からのアウトプットに思える」という事実は、お伝えしたい、という感じです(以前にも書かせていただきましたね)。

 昔から気になっていることの1つに「徹底的と思われる程度に理解しないと、不思議な事に、真逆の選択をしてしまいがち」という根拠説明のしようがない現象を感じています。つまり、「中途半端に勉強したのでは、最悪の選択をしてしまう傾向が感じられる」という事です(これも以前に書かせていただきました)。これは自分自身の過去の失敗からも感じ取れます。
 IT 業界としてのプロジェクトマネジメントの勉強は始まったばかりであり、沢山のPMP試験対策講座や、プロジェクトマネジメント実践研修なども行ってきましたが、随分と誤解されている事実に驚く場合もあります。
 「あれは理論であって実践はちがう」と感じたとして、それは「急がば回れ」をしていない、安易な180度逆の判断なのかも知れないということは、意識する必要があるかもしれません。
 つまり「違う」と感じた、その「実践」こそが、プロジェクトマネジメントという観点で見た場合に、実は目標達成に向けて「何ら意味を持っていない」ものだったり「害ですらあるかも知れない」という可能性は考えていただきたいと思う事があります。これは、さまざまな知識体系等、全般に言えることで、 PMBOK に限りません。
 私は「根拠のない自信」は、親からの最高のプレゼントだと思っています。自信にあまり理屈はないからです。でもそれと、大して勉強もしないまま、自分の考えを正しいモノとして、配下や周囲に押し付けるのとは違います(自分自身そうなっていないかが常に心配ですし、色々な意味で紙一重、立場や見かた次第です)。特にIT 業界に於いては、プロジェクト・マネジャー以上がこのあたりを常に留意する必要性を感じます。「自分が教えられ、やってきていたやり方で、これまで本当に成功してきたと言えるのか?」という自問自答です。

 少なくとも日本のIT業界では、狩猟民族的な「マネジメントによる成功は、ほとんどなかった」のではないか、と感じることがあります。他の様々な業界でも同様かも知れません。私は「マネジネント([全体]最適化プロセス)とデータベース(職人レベルの知識、知恵、[アクティビティ単位の]最適化プロセス... )がバランス良く噛み合ったという実感を持てた成功」がベストと思っています。どうしても、どちらかに偏りがちです。

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