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反応型試行錯誤進行による非失敗化....日本的プロジェクト管理

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 今後も、いろいろと良くない例など挙げていくことになるかと思います。
 上手く進めている組織も沢山あることと思いますので、ここはあくまで、「上手く行っていない組織に、より良くなってもらいたいというのが主旨」とご理解ください。上手く行っている組織の人から見たら、「何をバカげた事言ってるの?」というはなしだったりもするかと思いますが、その中で日々苦しんでいる人々がいるのもまた事実です。

 

もしや、掴んでいない...?

 PMP取得者は沢山いるにも関わらず、「プロジェクト・ネットワーク図を計画活動に必須としていない企業がほとんど」「プロジェクト・マネジャーの複数プロジェクトの兼務は業界全体で当たり前」という日本国内のIT業界の実情において、前回のように、何らかの実現に当たって「PMBOKの内容や、プロジェクトマネジネントの考え方を活かしたことで、大きな利益を得た。継続的に得ている」という実感を「掴んだ」と言える人はほとんどいないのではないか、と感じています。
 国内のITプロジェクトの成功は、あくまでひとり一人の技術者が勉強した知識や経験を中心とした「個人データベース主体による成功」ではないかと考えています。要は職人的なレベルの高い技術者がいたとか、末端担当者同士が自力で連携して頑張ったといった事から実現出来た成功がほとんどであって、「計画法を中心としたプロジェクトマネジメント」「ゼロベースからの最適化プロセス構築」などによる成功例というのは決して多くないという印象です。

 

「反応型試行錯誤進行による非失敗化」管理手順

 よく見かける「プロジェクト管理」と言われている下記の様な流れは、言葉にすると「反応型試行錯誤進行による非失敗化」です。
 さすがにこれはプロジェクトマネジメントの範疇外だと思いますけども、日本型プロジェクト進捗管理は、結構これが多いのではないかと思います。

  1. 細部のほとんどが漠然としたまま、技術者を脅して、とにかくやってみさせる(「はやく何か形を見せないと、お客さんが怒るぞ!」)。
  2. できあがったモノを見て、ケチをつける(「ここは、チョット違うな...こんな感じにしないと...次回進捗会議の報告事項」=> マネジメントの優位性も保てる)
  3. 技術者は気丈に「ケチ」を受け入れて改善する
  4. 1〜3の繰り返しによって、本来、最初に時間をかけて明らかにされ、提示されるべきだった元々のゴールに、少しずつ近づける
  5. 最終的に、納期やコストは予定をオーバーしているし、何度か顧客の所には謝りに行き、ユーザー部門等には「使えない」などと陰口をいわれているが、ステークホルダー間で「失敗した」という扱いにはなっていない。

 といった感じの組織も少なからずあるのではないでしょうか?

 細部の多くが漠然としすぎていて、何から手を付けたらよいのかも分からない様な状態であるにもかかわらず、「能力が無いと思われる事に対する恐怖感」がドライバとなって動く事になります。

 この場合の進捗管理の会議では主として、できていない事を指摘する活動を軸に、あくまで「マジメントが上から目線で話を展開する」場であり、コミュニケーションとは到底言えないものであったりします。

 できたものを見て、何かをいうのは、とてもラクです。プロジェクト・マネジャーら、上位マネジメントは「こうすると上手く行くよ」というところまで、事前に説明できて、実作業者たちにどれだけ最初から上手くいかせるか、そして、計画にもそう言った発想が明確に盛り込まれていて説明できることが大事と思っています。

 上記の進め方は極めて効率が悪く、最適化プロセスを実現すると場合によっては3分の1以上の短縮、コスト減などが実現出来たりもする場合がありますが、比較対象がありませんから、その組織である限り、全く気がつく事はないということになります。

 この様な組織の場合、結局はモノ作りを直接行う技術者の蓄積は大きくなりますので、確かにモノ作りは発達しますけども、成功した実感がないので、せっかくの能力の割に自信を持てず鬱になったり、攻撃的になりがちですし、マネジメントという意味での進歩は、ほとんどと言って良いほどないような組織も多いのではないかと思っています。

 

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