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Digital×PR 大航海時代

ソーシャルCRMとは何か。 -PRと(ソーシャル)CRMの関係-

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昨年から「ソーシャルCRM」という言葉を聞くようになってきました。


アドテックでもADKインタラクティブの横山社長が言及していました。
また、ネットイヤーさんも「grow Digital」セミナーなどを通じて
ソーシャルCRMに関する情報を発信しています。


しかし「ソーシャルCRM」という言葉が先走っていて、それが何なのかを
具体的には理解できていませんでした。
これを機に、ソーシャルCRMについて勉強してみようと思い、先日、トライコー
ンさんが開催した「ソーシャルCRMとは何か?!というセミナーに参加してきま
した。その内容を踏まえて私なりに考えたソーシャルCRMについてまとめてみた
いと思います。



■CRMの歴史、ソーシャルCRMにできること

講演では「ソーシャルCRMのロードマップ」を発表している野村総研の
亀津 敦さんと東急ハンズの「中の人」本田浩一さんから「コレカモネット
取り組みに至る経緯など現場でソーシャルCRMを実践する上での考え方や
労・課題についてお話を聞くことができました。

亀津さんの講演では「ソーシャルCRM」という考え方について、CRMの歴史や
ソーシャルCRMにできることは何なのかといった概要、そしてソーシャルCRMを
活用する事例(米国の保険業界やベストバイの@twelpforce)について聞くことが
できました。
*@twelpforceについては拙ブログ記事でもご紹介したことがありますので、
そちらもあわせてどうぞ



CRMの歴史については「CRM―顧客はそこにいるという書籍がCRMの
考え方の原点ということでしたので、一刻も早く読みたいと思います…。


講演の中でとても参考になったのが、亀津さんがお話しされていた、
ソーシャルCRMによって何ができるようになったのか、
そしてその難易度に関するお話でした。

ソーシャルCRMによってできるようになったことには大きくわけ
以下の3つのことがあげられます。

1. ソーシャルメディア・モニタリング [必須]
リスニング(傾聴)・プラットフォーム・サービスを利用して、
顧客の生の声を知ること。

2. カスタマーサポート [やりやすい]
ソーシャルメディア上のチャネルを活用して苦情への対応、
カスタマーサポートを行う。事例としてベストバイのTwelpforceを紹介。
ベストバイは対応履歴をウェブで公開しています。

3. セールス(キャンペーン / リード)の管理 [むずかしい]
キャンペーンを通じて、ソーシャルメディア経由で案件を獲得する活動。
米国の保険会社はこのような活動を積極的に行っている。
しかし、顧客の会話に「割り込む」ことになりかねないので企業にとっては
難しい使い方。消費者にヒットする話題を作り出していくために分析することが
重要。ソーシャルメディアだけで完結するものではないということを理解すべき。



■CRMの目的とは?

ソーシャルCRMと言うと上記の”できること”にフォーカスがあたりますが、
それだけがCRMではないとも考えます。私見ですが私の考えたCRMの目的は
「企業が顧客に寄り添い(One to One)、互いを利するコミュニケーションを
とること」であり、企業のメリットはLTV(Life-Time Value: 顧客生涯価値)の
向上とCPO(Cost Per Order)を下げることにあり、顧客にとってのメリットは、
ニーズや悩みに合致した情報を得ることができるということが考えられます。
そのためにソーシャルCRMができることとして、顧客の声を聞くこと(傾聴)、
それをCRMのプロセスに還元し、コミュニケーションを最適化すること、
またソーシャルメディアにおいて顧客を支援することがあるのではないでしょうか。
こう考えると、CRMの本質的な目的をサポートするくらいの位置にソーシャルCRM
があるのだろうな、というのが正直な感想です。


■PRと(ソーシャル)CRM

そして、PRとCRMの関係についても考えてみました。

企業におけるPRの役割が「企業と生活者の良いつながりをつくること」
であるとすれば、上記のようなCRMの目的に対してPRにできることは、
「文脈を作ること」とその「文脈の信頼性を高めること」にあるのではないか
と考えます。もちろん、その文脈は企業のニーズと生活者のニーズを橋渡しするものです。

企業は、PRによってメッセージやストーリーを生活者に伝えるとともに、
ソーシャルCRMを通じて生活者の声を傾聴し、ニーズを反映した
製品/サービスを開発、そしてコミュニケーションも最適化していくことで、
顧客との継続的なつながりを生み出す、といったような関係性がPRと
ソーシャルCRMにはあるのではないでしょうか。


コミュニケーションの目的は企業によって様々だと思います。
その中でも顧客との長期的な関係づくりを指向したコミュニケーションにおいて、
PRと(ソーシャル)CRMは「マネジメントすべき顧客との関係」を創出し、
エンゲージメントを高めていくためには切っても切れない関係にあるのではないでしょうか


<参考情報>

野村総合研究所のニュースリリース:
2015年度までのソーシャルメディアの進展とCRMへのインパクトを予測した
「ITロードマップ」を発表


正しいソーシャルCRM | マーケティングis.jp


*ちなみに、セミナーの一部がYouTubeで公開されているようです。


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Comment(4)

コメント

仰る通りですね。
CRMの原理原則を分からずにソーシャルCRMに飛びついても、上手くいくわけがありませんし、あくまでCRMを補完するためのものに過ぎないと私も思います。
たしかに、ソーシャルメディアは、顧客と企業との距離が近くなることを可能にしましたが、個を特定してLTVの最大化を図るというCRMそのものの目的を単独で達成できるものではない思います。
ソーシャルメディアは、単なるツールであって、今、ソーシャルCRMと騒いでいるのは、かつてEメールでCRMができる言っていた人たちと何ら変わりないわけです。
もっと、本質的なところを見ないと、また誤った形でCRMが広がってしまうだけですね。
それと、CRM関連の書籍では、服部隆幸氏の書籍が大変お薦めです。
氏は、日本のCRMやOnetoOneマーケティングの第一人者、もう20年以上も前から、一貫して今に通ずるような考えを提示し続けています。

>キヨ様

コメントありがとうございます!

今回、少しですがCRMについて調べてみて感じたことは、小手先のツール選びではなく、顧客とどのような関係を築きたいのかを描くことが考え方として重要なのだろうなということでした。つきつめていけばザッポスのような形もアリなのでしょうけれど、どの企業でもできるわけではないはずで…。

コミュニケーションの領域においても、かつてはブログを云々、Twitterを云々、いまではfacebookを云々と流行につられてしまい、目的やそのチャネルが本当に顧客との有益な接点になるのかを検討しないままツールを導入してしまうという悲劇が起きているように感じます。

そういった悲劇が起きないように、本質を知り、伝えていきたいなぁと思う次第です。
(あっ、個人的な意思表明になってしまいました・笑)


教えていただいた服部隆幸さんの書籍にもあたってみたいと思います!

どんなツールを使うにせよ、その上流工程にある理論が最も大切だと思います。
CRMやSFAのシステムに関しても、それに搭載する理論が無いため、どの企業も失敗に終わっています。
システムもメディアも、どんなツールであってもツールはツールですから、本質的な考え方を世の中に広めたいですね。(私も個人的にそれは強く思っています笑)
TESSYUさんとは、そのうちぜひお会いしてゆっくりお話したいです。(おこがましくてスイマセン!)

いえいえ! ぜひお話したいです。改めてメールでごあいさつさせていただきますね!

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