知的障害者の雇用で有名な日本理化学工業の工場を見学してきました
以前に『働く幸せ』という本についてエントリーを書いたことがあります。この本の著者は、知的障害者の雇用で有名な、チョーク製造で約30%のシェアをとっている日本理化学工業の大山泰宏会長ですが、昨日縁があって、この日本理化学工業の工場見学会に参加してきました。実際に障害者の方々が働いている現場を見ることができましたが、障害があるとは思えないほど、皆さんがきびきびと働いている姿に感銘を受けました。
大山会長の話もお聞きすることができました。著書を読んでいたのでだいたいの内容は知っていましたが、やはりリアルで話をうかがうと説得力が違います。
特に印象に残ったポイントは、障害者の方々とコミュニケーションをとるときに、うまく伝わらなくても相手の能力のせいにせず、今ある相手の能力でわかるようにすることが大切だとおっしゃっていたことです。実際の作業についても、障害者の方々でもできるようにいろいろ工夫がされています。例えば、材料を量るときに、赤い袋の材料は赤いおもりで量るというように色分けされていたり、チョークを入れるだけで大きさを検査できる道具をつくったりなど。単に規則などを決めるのではなく、実現のための仕組み、システムをつくることの重要性を再認識しました。
もう一つ、人のために一生懸命やっていると、周りの人が応援してくれるようになり、自分に戻ってくるという話も印象的でした。今回見学させていただいた川崎工場も、障害者雇用に力を入れているということで、モデル工場として川崎市に協力してもらい、いい条件で建てることができたそうです。また、現在キットパスというガラスに描けるチョークに力を入れているそうですが、このチョークも、産学連携で早稲田大学に協力を得て開発できたとのこと。このキットパスを使ってガラスに絵を描くことは五感を刺激するので、特に3歳ごろまでの子育てに有効だそうです。
あと、大山さんが影響を受けた人物や言葉として、大山さんが障害者雇用で悩んでいたときに、住職の方から聞いた4つの幸せについての話をあげていました。著書から引用します。
「人間の幸せは、ものやお金ではありません。人間の究極の幸せは次の4つです。その1つは、人に愛されること。2つは、人にほめられること。3つは、人の役に立つこと。そして最後に、人から必要とされること。障害者の方たちが、施設で保護されるより、企業で働きたいと願うのは、社会で必要とされて、本当の幸せを求める人間の証しなのです」
震災後のこの時期だからこそ、改めて、会社や仕事、働くこと、生きることの意味について考えてみることは大切だと思いますが、そのための参考になる材料をこの工場見学会でいろいろもらえた気がします。