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『働く幸せ』

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「仕事は楽しく?」というお題に関係しそうな本を最近読んだので紹介します。

チョーク製造をしている日本理化学工業株式会社はご存じでしょうか。この会社は、従業員の約7割が知的障害者という、障害者雇用に力を入れている会社として有名で、ベストセラーになった『日本でいちばん大切にしたい会社』で紹介され、その後、『カンブリア宮殿』などでも取り上げられました。その会社の会長の大山泰弘さんが『働く幸せ』という本を出版されています。

『働く幸せ 仕事でいちばん大切なこと』

大山さんは、最初から障害者雇用に積極的だったわけではないそうです。養護学校の先生が訪ねてきて「うちの生徒の就職をお願いしたい」と頼まれたとき、「それは無理な相談です」とずっと断っていて、「せめて働く体験だけでも」と頼まれ、これだけ熱心に頼まれて断るのもつらいので、「2週間だけなら」と2人の知的障害者を受け入れました。

実際に彼女たちが働き始めると、その一生懸命さに現場の人たちが心を打たれ、こんなに一生懸命働くなら、私たちが面倒を見るので就職させてあげてくださいと言われて、それならと養護学校卒業後に2人を採用しました。

その後も、施設にいれば楽に過ごせるのに、どうしてつらい思いをしてまで工場で働こうとするのだろうかと、もやもやと考えていたときに、法要で行った禅寺の住職の方から、、以下のように言われたそうです。

「人間の幸せは、ものやお金ではありません。人間の究極の幸せは次の4つです。その1つは、人に愛されること。2つは、人にほめられること。3つは、人の役に立つこと。そして最後に、人から必要とされること。障害者の方たちが、施設で保護されるより、企業で働きたいと願うのは、社会で必要とされて、本当の幸せを求める人間の証しなのです」

これを聞いた大山さんは、自分の考えが根本から間違っていたことに気づき、障害者の方々の「働く幸せ」を守るために、障害者雇用に力を入れるようになったそうです。

仕事をすること、働くことは、生活やお金のためにしょうがなくやらないといけないことだと思ってらっしゃる方もいるかもしれませんが、この本を読むと、働くこと自体が幸せであり、喜びであり、楽しいことだということがよくわかります。

実は、たまたま縁がつながり、日本理化学工業の方と知り合って、この春には工場見学にうかがえることになりました。今から楽しみにしているところです。

参考までに、日本理化学工業のことをとりあげた動画を紹介しておきます。

報道ステーション 2009.2.13放送

Tokyo Business Residence ♯207 第3回 「働く幸せ」 (29分)

下の動画は無料会員登録が必要ですが、番組のナビゲーターがiモードの仕掛け人として有名な夏野剛さんで、夏野さんも大山さんの話に感動されているのがよくわかります。

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