SXSW2017観戦記ーその4 日本からの挑戦者たち①
SONYやPanasonicだけでなく日本から様々な分野から参戦しているSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)。世界80か国以上からの参加者同士がネットワーキングを目的に"参戦"する今最も注目されるフェスティバルだ。この観戦記では、主に2017年度の日本企業参戦の模様をレポートしていく。
ソニーやパナソニックは、市街地の一角にある建物を貸しきった展示でしたが本来の会場であるオースティンコンベンションセンターにも我が日本の仲間も集結していました。
《TRADESHOWの会場となったオースティンコンベンションセンター》
1. 世界初「8K: VR Ride featuring "Tokyo Victory"」 NHKエンタープライズほか
サザンオールスターズの「東京VICTORY」の軽快なサウンドに乗せて長蛇の列を作っていたのが「8K: VR Ride featuring "Tokyo Victory"」のデモ。昨年のSXSW2016でも「8K:VR シアター」というコンセプトで出展され、"ヘッドマウントディスプレイを使わないVR 体験"として注目を集め、「2016 年度グッドデザイン賞」「Innovative Technologies2016 選考委員特別賞」「ルミエール・ジャパン・アワード2016 3D 部門グランプリ」を受賞したコンセプトの進化版。ヘッドマウントディスプレイを使わずにVR 体験を実現するもの。このヘッドマウントディスプレイを使わないVRは、SONYのWOW Factoryでもデモをしていた。
《様々なアトラクションでも今後このようなVRシアターが提供されるかもしれない》
2.博報堂ブースのテーマは「ブレークスルー」
SXSWの常連企業のひとつである博報堂は、グループ企業を含めて多彩な展示。まず、最初にご紹介したいのは、「LIVE JACKET」。これ、音楽を全身で体験できるというもの。最近ブレークした日本を代表するロックバンド「ONE OK ROCK」の新アルバム"Ambitions"の発売を記念して開発したらしい。余談だが、ONE OK ROCKのボーカルTakaは離婚した森進一さん、森昌子さんの長男であることは有名な話。
《実際に試着したが重厚なサウンドとともに新曲を"体感"できた》
ELI(エリ)は、洋服の襟につける小型マイクデバイス。専用アプリと連動してユーザーが話す日本語を記録・解析するという。ユーザに最適な英会話レッスンを提供するという。
《ネクタイピンのような小型マイクデバイスの「ELI」は、英会話のトレーナーになるのだ》
HACKistが提案する複合現実(MR)体験「INVISIVLE FORCE」は、あのマイクロソフトのHoloLensと筋電センサーのアームバンド「MYO」を組み合わせた超能力?!体験。なんと手で気を溜めて解き放つと数メートル先にあるウレタンのジェンガを吹き飛ばすというもの。、
《HoloLensと連動した爆破機能でジェンガを吹き飛ばす(右上写真)》
3.パルコは、学生チームとクラウドファンディングの成果を問う
東京大学主催のTodai to Texasのプログラムサポートを受けて参戦したのが「NekoElectro」と「+move」の2チーム。いずれもパルコのクラウドファウンディングBOOSTERを活用したクラウドファウンディングから産まれたプロジェクトだ。
「NekoElectro」は、「猫背になると猫になる」をコンセプトにした姿勢改善を促すIoTカチューシャ。このカチューシャをつけた状態で猫背になると、猫耳が飛び出ると同時に振動するというもの。冗談のようなサービス。東大の現役女子学生4人組によるサービスだ。
《自分で実際に試着して見たがとても公開できる姿でないので却下》
「+move」は、PerfumeのSXSWのパフォーマンスに感動して参戦を決めたこれまた東大生。このハンガーは、自動的に一定間隔を保とうというもの。新しくハンガーを掛けると一斉に均等に間隔を保とうと動き出す姿はなんとも可愛らしい。女性ならではなおアイデア。
《移動するときのモーター音が工作のノリで面白い》
4. 資生堂はベンチャーや日本マイクロソフトとコラボレーション
資生堂は、香りをカスタムメイドするアロマディフューザー「BliScent」と「TeleBeauty」で参戦。ベンチャー企業やマイクロソフトとのコラボレーションによる出展だ。
「BliScent」は、ユーザの気分やストレスレベル、行動の情報に基づき、3,000種類以上の香りをカスタムメイドにブレンドする世界初のアロマディフューザー。共創したドリコスは、資生堂が出資するベンチャー企業。
《スマートフォンから操作で好みの香りをカスタムメイドでブレンドする》
「TeleBeauty」は、日本マイクロソフトと、博報堂ケトルとの共同開発したオンライン用自動メイクアプリ。Skypeなどのビデオ通話で映る顔に「ナチュラル」「トレンド」「クール」「フェミニン」の4つのからメークをしてくれます。実は、昨年秋には日本マイクロソフトの女性社員100人で実証実験をしたらしい。
《画面上に口紅をつけた自分の姿が映るとは》
5. パナソニック「Wonder LAB Osaka」
前回ご紹介したアプライアンス事業部のPanasonic HOUSEとは別にコンベンションセンターでは、大阪西門真にある共創の場である「Wonder LAB Osaka」所縁のアイデアを展示していた。トントンボイス相撲は来場者の人気者でした。
《Panasonic HOUSEとは打って変わって手作り感満載の「Wonder LAB Osaka」ブース》
6.JAPAN FACTORYプロデュース: 大阪大学石黒浩教授 x NTT
日本のアンドロイド研究の第一人者と言われる大阪大学石黒教授とNTTが開発した議論対話システムによるデモ。人間と自然な対話をする機械むき出しのロボット"Repliee(リプリー)S1"とキュートな女性型アンドロイド"U"が延々と"世間話"をしていた。
《Repliee(リプリー)S1とキュートな女性型アンドロイド"U"》
私の所属する富士通も今年でSXSWに参戦を開始して三年目。社内のイノベーター有志がイノベーションの成果を発表する場として活用してきた。その軌跡は別途ご紹介したいと思う。
(つづく)