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コトづくり百景 〜究極の読書体験してみた「Kindle Paperwhite」

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新年あけましておめでとうございます!

 今年は、暦の関係から9連休の方も多かったのでは!?「モノづくり」と「コトづくり」の両面からイノベーションを考えて来たこのブログもお陰様ではや9ヶ月目に突入いたしました。本年もどうぞよろしくお願い致します。

 先月から「コトづくり百景」と題して様々な業種のコトづくり事例を紹介していますが、本日ご紹介したいのは、Amazonが提供する「Kindle (キンドル)」

そう、あの電子書籍のパイオニアです。

 日本で電子書籍と言うと、株式会社パピルスが、1995年11月にパソコン通信上で「電子書店パピレス」開始したことが懐かしい。電子書籍を読む端末もソニーなどから発売されていたが、書籍数や端末の価格、通信機能などがネックで本格的に普及するには至らなかった。

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 AmazonがアメリカでAmazon Kindle(アマゾン・キンドル)を発売したのは2007年11月ということで既に6年以上も前になる。Amazon Kindleは、Amazon.comが製造・販売する電子ブックリーダー端末やソフトウェアおよび電子書籍関連サービスであり、専用端末やパソコン、スマートフォン、タブレットなどで電子書籍を読める言ってみれば1つのプラットフォームだ。

 専用端末のKindleは、既に5世代を越え、Kindle Paperwhiteに進化。最新版のKindle Paperwhiteも既に第二世代を迎えている。電子ペーパーの一種であるE Ink(電子インク)ディスプレイを搭載した電子ブックリーダーである。

 また、Kindle Fireシリーズは、Android をベースに独自開発された Fire OS を搭載したタブレット端末でフルカラーマルチタッチ液晶ディスプレイを備え、Kindle ストアや Amazon Appstore にアクセスして電子書籍・音楽・映画・アプリなどを買うことができる。

  • 実際に購入してみた!

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 Amazonに最新版のKindle Paperwhiteを12月30日の朝、注文すると年末年始の繁忙期にも関わらず、その日の夕方にご覧のようなスタイリッシュな端末が到着した。端末自身は、9,980円(Wi-Fiモデル)だが、専用のレザーカバーを3,980円で購入したので合計で13,960円となる。Amazonプライム対象なので送料は無料だった。

 それにしてもAmazonの”本業”としてのサービス・プラットフォームの実力には驚かされる。欲しいものが、その日のうちに手に入れることができるのは利用者にとって何物にも代え難い”買物体験”だと思う。

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 まず、確認したかったのは専用端末であるKindle Paperwhiteの”本”としての実力。ディスプレイには、E Ink(電子インク)を採用しているが、Paperwhite(白い紙)とねネーミングしているように従来の本を読むような感覚で文字を表示してくれるのか。

 写真は、朝陽の差し込む書斎で撮影したもの。ご覧のようにまるで画面に印刷した白い紙を貼付けたように自然に見える。

 第五世代のKindleからこのKindle Paperwhiteに世代交代したときの最大のウリは、ディスプレイにフロントライトが内蔵されたこと。0から24までの25段階で明るさを調整できることで暗いところでも本を読むことができるようになった。目に向けて光を当てるバックライトとは異なりディスプレイの表面を照らすので、目が疲れにくく読みやすい。

  • ”究極の読書体験”を検証してみる

 では、「コトづくり」の観点でこの「モノ(端末)+サービス」であるAmazon Kindleの「究極の読書体験」を検証してみよう。Kindleの魅力は、①従来の本の機能と②従来の本を超える機能、そして③タブレットやスマートフォンを超える機能にあると考える。

①従来の本の機能

正確には、従来の本にも劣らぬ機能と行った方が良いだろう。

  • 明るい日差しの中でも反射せず、目が疲れないディスプレイ。
  • 片手でも疲れにくく、本を読む場合と同様に長時間の読書を楽しめる。
  • 本を開くのもページをめくるのも自然に。
  • パラパラとページをめくる感覚。

操作の慣れの問題もあるがパラパラと言う感じでもないが、想像以上に自然な感じで読書が楽しめる。

②従来の本を超える機能

これは、先端テクノロジー(技術革新)が可能にした従来の本にはない機能。

  • 本を購入してから読み始めるまでたったの60秒。
  • 自分の本を4000冊まるごと納められ、どの端末ですぐに続きが読める。
  • 辞書とウィキペディアを統合し、外国語を翻訳して読める。
  • 暗い場所での読書や文字サイズを自由に調整可能。
  • 追加できる読書メモをPCにエクスポート可能。
  • ハイライトした所をFacebookやTwitterでシェア。
  • 他のユーザーがハイライトしている所を確認可能。

これはまさにICTの恩恵といったところか。読みたい時に読める、場所をとらないといった特徴は電子書籍ならでは。特に外国語の翻訳機能やハイライトに関する機能は読書のスタイルも変革する機能ではないだろうか。

③タブレットやスマートフォンを超える機能

専用端末と言うと古くさいイメージがつきまとうが、実は優れもの。

  • 一度の充電で最長8週間も使用できる。
  • 一般的なタブレットより30%程度軽い。
  • スクリーンの白はより白く、文字の黒はより黒く、シャープでくっきり。

はじめて持った時の第一印象が、とにかく”軽い”。タブレットのように腕がしびれることはない。また、フル充電で8週間(実際まだ検証していないが)持つらしい。日々スマホの充電場所を探している身からするととてもありがたい。また、タブレットやスマホは、”見る”感覚だが、Kindle Paperwhiteは”読む”感覚に限りなく近い。

  • Amazon Kindle(アマゾン・キンドル)の可能性

 このAmazon Kindleは、 間違いなく出版業界の構造を大きく変えることになることに誰もが異論がないところだろう。既存の出版業界とのせめぎ合いに加え、アップルがiPadとibookストアで電子書籍ビジネスに参入したことから価格主導権をプラットフォーム側が握る”卸売モデル”と出版社側が握る”代理店モデル”の綱引きに発展している。

 しかし、そういった中で注目したいのは、Kindleのプラットフォームを活用すれば、個人が比較的簡単に自費出版できるAmazon Kindle ダイレクト・パブリッシング(KDP)の仕組みだ。KDPは、出版したいコンテンツをKindleのフォーマットに合わせて電子書籍を製作し、Kindleストアで公開するモデルで、無料で出版することができる。そして、Amazonの販売経路を通じて、世界中の読者に日本語、英語を含む7か国の言語で提供できるのだ。出版手続きにかかる時間はわずか5分で本は48時間以内に販売される。また、Amazonと独占契約をすれば70%のロイヤリティも獲得できるという。

 出版の分野でも生活者参加型の共創が進み、誰でも著者になれる時代がやってくるかもしれない。もし、今すぐ著者になりたいのであれば、ちきりんさんの体験記をご覧頂きたい(キンドル・ダイレクト・パブリッシング体験記録)。

(つづく)

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