サービス化の進展 〜製造業のサービス化 サービスによるプロダクトの価値向上 〜
先週、本年3月より参加して来た「ICTコトづくり検討会議」(座長:三友仁志 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)の報告書が公表されました。3月から全7回の討議に参加してきましたが、ICTのプレイヤーだけでなく、様々な業種の方々がいて、大変有意義な議論となりました。
今回の議論では、従来のビジネスモデルにとどまらず、高度なICTを活用して高付加価値のサービスを一体で提供する新たなビジネスモデル(コトづくり)を「ICTコトづくり」と定義し、我が国の企業や行政における「コトづくり」力の強化に向けたICTの徹底的な利活用方策等について議論してきました。
報告書はまだまだ議論不足の部分もありますが、「ICTコトづくり」という新しい定義をしたことは一定の成果があったと考えています。今後、政府の成長戦略や白書などに反映されていくことが想定されています(報告書の詳細はこちら)。
さて、先週からサービス化の進展について、製造業のサービス化の視点から考察をはじめました(サービス化の進展 〜製造業のサービス化 バンドリングからアンバンバトリング〜)。
製造業のサービス化の進展を大局的に捉えると、基本的には、プロダクトとサービスの関係は密接な関係にあり、一方向ではないことが判ります。
我々が歩んで来たコンピュータビジネスでは、当初はサービスがバンドリングされていましたが、いまやコンサルや保守、構成設計や監視、アウトソーシング、ファイナンスなど、その他さまざまなサービスがアンバンドリングされ、サービスとして商品化され、場合によっては別会社化されるケースも出てきています。
進化の過程は、付帯サービス(プロダクト・リレーテッド・サービス)のビジネス化ということになりますが、サービスが独立してビジネスになると、この関係が双方向に進化します。
サービスが、逆にプロダクトの価値を高める方向に進むこともあるし、強い競争力のあるプロダクドがサービスの価値を高めるという方向もあります。
これは、ある意味スパイラルの関係をもち、プロダクトとサービス全体でどう競争力を高めるかという競争に発展します。
プロダクトを持つことで、サービスの深さやレベルに差が出てきます。ITベンダーでは、世界的に見ても既にサービスが一番大きなビジネスになっていますが、プロダクトビジネスを捨てないのはこのような関係があることも一因だと考えられます。
GoogleやFacebookのようにサービス企業でありながらハードウエアの仕様を企画する企業も現れてきました。モノづくりとしてのプロダクトビジネスとサービスビジネスの新たな関係がこれからのコトづくりのベースとなっていくような気がします。
この観点については継続してウォッチしていきたいと思います。