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「太らない薬」をどう扱うべきか?-- GLP-1の是非と"制度設計"の視点

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最近では元テニスの世界女王セリーナ・ウィリアムズが14キロものダイエットに成功したと話題になったGLP-1薬。

話題のダイエット薬「GLP-1」を使用し、14キロの減量に成功したセリーナ・ウィリアムズ。使用した理由を赤裸々に語った。
www.harpersbazaar.com

GLP-1製剤(例:Wegovy/Zepbound)は体重管理のゲームチェンジャー。一方で、高コスト・需要急増ゆえに、制度設計の巧拙が従業員体験と医療費の両面に直結します。

■論点(要約)
 ・事前承認・利用管理・自己負担の設計
 ・体重管理プログラム連動(生活習慣介入の前提化)
 ・年度途中の適用見直しに伴うコンプライアンス配慮
 ・コストと公平性(適応基準/継続基準)の透明化

■日本ではどうなっている?(深掘り)
 ・Wegovyは2023/11薬価収載→2024/2発売、Zepboundは2024/12承認→2025/3薬価収載
 ・適応条件はBMI35以上、またはBMI27以上+合併症2つ以上
 ・食事・運動療法で効果不十分な場合に限る
 ・栄養指導を2か月に1回以上受け、最大68週間までの使用が原則
 ・美容目的の適応外使用は抑制、供給逼迫・偽造品リスクへの注意喚起

■企業(人事/健保)の打ち手(コンサル目線)
 ・社内ガバナンス:適応基準・継続基準の明文化
 ・生活習慣介入:デジタル施策と栄養指導の"先行"実施
 ・公平性確保:福利厚生での"暗黙の誘導"を避ける
 ・データ活用:健保データ×人事データで非特定化分析し、人的資本KPIに反映
 ・リスク管理:供給逼迫・副作用・偽造品への対応フロー整備
 ・開示対応:医療費・生産性・離職率などを統合し、人的資本開示や統合報告に反映

■結論
論点は「使う/使わない」ではなく、誰に、いつまで、何と組み合わせて使うか。
GLP-1の適正利用は、単なる医療費管理ではなく、人的資本経営に直結するテーマです。
従業員の健康・生産性・エンゲージメントを高める制度設計は、企業のサステナビリティ戦略そのものにつながります。

参考
Mercer解説(GLP-1の制度設計)

厚労省/PMDA:最適使用推進ガイドライン(Wegovy・日本)

厚労省:適正使用・供給逼迫等の留意事項

日本肥満学会ステートメント(適正使用・施設/医師要件・継続/中止基準)

薬価の例(Wegovy/Zepbound)

【薬価収載情報】肥満症治療薬「ウゴービ皮下注」0.25mg:1,876円など(11月22日収載予定)|Web医事新報|日本医事新報社
【薬価収載情報】肥満症治療薬「ウゴービ皮下注」0.25mg:1,876円など(11月22日収載予定)


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