【レビュー】シャープのネックスピーカー AN-SS1 は本当に使えるのか?
メリークリスマス!
先日スリコのワイヤレスステレオイヤホンを買ったばかりなのに、調子に乗ってもうひとつ買っちゃいました。シャープの首に掛けるタイプのネックスピーカー、AN-SS1 です。正直に申し上げます。必要に迫られて、ではありません。衝動買いです。自分へのクリスマスプレゼント、といったところでしょうか。昔は、かの物欲番長のような生活をしたいなぁ、と憧れた頃もありました。
それはさておき、AN-SS1です。世の中、後継機種の AN-SS2 も出ていますが、安価な AN-SS1 を選びました。いわゆる「首にかけて使うスピーカー」です。重さはわずか88グラム。超肩凝りの私でも、装着時に全く気にならないほど軽いです(肩が凝ってるから気づいていないだけ、かもしれませんが)。
肩や首に掛けて使うネックスピーカーというジャンルは、スピーカーの世界では比較的新しいものですね。イメージとしては、ヘッドフォンやイヤホンとスピーカーとの中間に位置するもの、といってもいいと思います。世の中のオススメのネックスピーカーはこれをご覧いただくとして・・・
ネックスピーカーは、あくまでもスピーカーです。そういう意味では、ヘッドフォンやイヤホンの完全な代用品としては使えません。一方で、ヘッドフォンやイヤホンとは違う、ネックスピーカーならではのメリットもあります。
ネックスピーカーのメリット
- 耳をふさがない。
周囲の音が聞こえるし、耳への負担が事実上ゼロになる。 - 音が自然に耳に入ってくる。
ヘッドフォンやイヤホン特有の「耳に集中的に音を噴射?している」わざとらしさがない。 - スピーカーと耳との距離が一定なので、移動しても聞こえ方が変わらない。これはヘッドフォンやイヤホンに非常に似ている。
- 耳のすぐそばにスピーカーがあるため、小さな音でも聞こえる。通常のスピーカーで音を出すのははばかられる、なんて時にはイヤホンぽく使える。
ネックスピーカーのデメリット
- しょせんはスピーカー。周囲に音はダダモレ。公園を散歩しながら使うぶんには問題ないと思うが、ネックスピーカーで音楽を聴きながら電車やエレベーターに乗ると確実に迷惑。
- 購入時に「多少重くてもいいから(200グラム~400グラム)音質重視」とするか、「多少音質は犠牲にしてでも軽い(100グラム以下)ほうがいい」とするか、よく吟味する必要がある。
(製品の吟味、というのはスピーカーでもヘッドフォンやイヤホンでも同じことがいえますが、ネックスピーカー自身がまだ新しい市場なので、より慎重に考えないといけません。)
さてさて、今回購入の AN-SS1 です。決め手は何といってもその軽さ。88グラムです。それと専用の送信機(トランスミッター)がついているというのも面白いです。
さっそく開封。割とシンプルですね。中央の黒い箱の中には、充電用のUSBケーブル(これまた TYPE-C ではなく、MicroUSB でした。やはりコストダウンを狙っているのでしょうか)、USB延長ケーブル、専用の送信機、送信機とヘッドフォンジャックとを接続するためのオーディオケーブル、そして送信機をテレビになどに固定するためのマジックテープが入っていました。
AN-SS1 は単独で Bluetooth 4.1 に対応していますので、スマートフォンやノートパソコンなどに接続することができます。対応プロファイルは、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)、AVRCP(Audio Video Remote Control Profile)、HFP(Hands-Free Profile)、HSP(Headset Profile) をサポートしています。スリコのワイヤレスステレオイヤホンと同じですね。念のためにこれらを簡単に説明すると、次の通りです。
- A2DP:高品質で音楽を転送するプロファイル
- AVRCP:AV機器をリモートコントロールするプロファイル
- HSP:音声の受信だけでなく、マイクを使った双方向通信をするプロファイル
- HFP:発信、着信などを含めたハンズフリー通話をするためのプロファイル
面白いのは、専用の送信機の存在です。この専用の送信機は、Bluetooth に対応していないデスクトップパソコンやテレビ、ゲーム機(Nintendo DS とかね)などで AN-SS1 を使うためのものです。テレビのヘッドフォンジャックと送信機をオーディオケーブルでつなぎ、送信機にUSBで電気を送ります。するとテレビやゲーム機のヘッドフォンジャックから流れる音が AN-SS1 から聞こえる、というもの。このヘッドフォンジャック付きの送信機が標準装備なところが「Bluetoothに対応していない家電でも使える」という配慮ですね。さすが「家電のシャープ」、というところでしょうか。ヘッドフォンジャックから出る音を拾うので、ボリューム調整はパソコンやテレビ側でやることになるでしょう。もちろんAN-SS1にもボリューム調整ができるツマミがありますが、当然のことながら、パソコンやテレビ側で小さくした音をAN-SS1のボリュームつまみを操作して大きくすることはできません。この場合は、AN-SS1側のボリュームは最大にしておいて、パソコンやテレビ側で調整することになります。
この送信機、単なるトランスミッターではありません。パソコンに取り付けると、Bluetooth ドングルとしてではなくUSB接続のスピーカー&マイクとして認識します。汎用の Bluetooth ドングル(レシーバー)にはなれません。デバイスマネージャーで見ると、AN-WD1 というスピーカーとマイクが接続されているように見えます。パソコン側のデフォルトのスピーカーやマイクを AN-WD1 に設定すると、これで(わざわざヘッドフォンジャックを介さなくても)AN-SS1 をヘッドセットとして使用することができます。
そしてヘッドフォンジャックからの音を拾ってAN-SS1に送るより、USBスピーカーとして認識させてそいつをAN-SS1に送るほうが、音質がいい。そりゃそうか。ヘッドフォンジャック経由だったらいったん音がアナログになりますもの。
さらにびっくりすることがひとつ。AN-WD1はパソコン本体側でのボリューム調整ができないのです。ボリュームを 0 にしようがミュートにしようが、AN-SS1 からお構いなしに音が聞こえて来るんですよ。音量調整やミュートは AN-SS1 側でしか調整できないようです。
私はこの AN-SS1 を自宅のデスクトップパソコンに取り付けました。自宅で電話会議をやるときにはお世話になることでしょう。