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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

4. 「頭がいい」とはどういうことか

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今日は、「頭を使う」ということについてお話しします。頭を使う研修(ロジカルシンキングとかラテラルシンキングとか)でお話ししている内容なんですが、我ながら重要だと思いますので、ここに書いておきますね。

よく、「あの人は頭がいい」とか、「もっと頭を使え」とか、言ったり聞いたりします。
では、「頭がいい」とは、いったいどういうことをいうのでしょうか。それを理解するためには、まず「頭を使う」ということを理解する必要があります。メタ認知.jpg

まず大切なことは、頭を使うというのは、「思い出す」と「考える」の2種類に分けられる、ということです。

「思い出す」とは、記憶をたどり、その記憶の中から今必要としている知識を引っ張り出す行為のことで、「知識」と深く連動しています。知識がたくさんあり、今必要としている知識を容易に思い出すことのできる人は「頭がいい」ということになるわけですね。

一方「考える」とは、いわば複数の知識を組み合わせる行為のことです。「分析」とか「連想」とかと深く連動しています。しかも、「考える」はさらに「論理的思考」と「創造的発想」に分けられます。「論理的思考」、つまりロジカルシンキングは、ものごとを分類・整理・分析して考えることで、深く考え、最も適切な答え(最適解)を生み出すための思考です。一方、「創造的発想」、つまりラテラルシンキングは、今までにないまったく新しいことを生み出すことで、広く浅く、質より量を重視し、誰も考え付かなかった答え(イノベーション)を生み出すための思考です。

こちらは、状況を正確に整理し、鋭く分析し、最適解を導き出すような人は「頭がいい」といわれるのでしょうね。
あるいは、誰も考え付かなかったようなまったく新しい、斬新なアイデアを思いつくような人を「頭がいい」というのでしょう。

さて・・・最近、特に若い人の間で、「思い出す」と「考える」の区別がついていない人が見受けられます。研修において、複数の情報を組み合わせて考えないといけないような課題を出し、「さぁ、考えてみましょう」というと、少ししてから割とすぐに「わかりません」って返事をしてしまう人が少なからずいるのです。これは、自分の知識を検索し、その中に「答え」が見つからないと「わからない」と言ってしまう、つまり「思い出す」ことができないとわからないと言ってしまう、という傾向なんです。本当の意味で「考えて」ないんですね。

豊富な知識がある(思い出せる)のも、頭がいい。
最適解や奇抜なアイデアを導き出せる(考えられる)のも、頭がいい。
でも、このふたつは、似て非なる能力なのです。

ですから私は、豊富な知識を蓄え、それをすぐに思い出すことができる人を「頭がいい」と称し、
複数の情報を組み合わせ、分析し、仮説をたて、最適解や奇抜なアイデアを導き出せる人のことを「頭の回転が速い」と称して、区別することにしています。

今の世の中、求められている人材は、「頭がいい」人よりも「頭の回転が速い」人だと感じています。そして、その頭の回転が速い人を育成することこそ、本当の教育だと思うのです。

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