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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

6. 機長の仕事と経営は似ている

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Forbesの記事「JALを『V字回復』させた元機長の操縦術」を読みました。
そして、なるほど、優秀な機長の仕事と、優秀な経営者に求められる仕事は似ている、と思いました。稲森会長が優秀な機長を社長に大抜擢した理由も、そう考えるとうなづけます。

元記事には、JALの元機長、植木社長のこんなお言葉が書いてあります。

「地上では、最高の結果を出すためにどれだけの時間が必要かを考えがちですが、パイロットは違います。限られた時間内にどこまでのことができるか。Time is moneyではなく、life。命そのものなのです。例えば、フライト中にトラブルが起きると、状況を認識して判断し、優先順位をつけて実行する。NASAの調査では平均2〜3分で遂行するそうですが、その間にも状況は変わり、判断を変えなければならない。最初にこう決めたからといって変化に対応できないと、事故に至るのです」

また、こんなことも。

判断する際、知識は多いほどプラスになると思われがちだが、植木はその「足し算」型の考え方が危険につながると言う。「離陸をした直後にエンジントラブルが起きたとします。そのとき、知識を詰め込んだ人は、答えを知識の箱から探し出そうとする。でも、状況を打開できる知識を探し出せなかったら、どうなります?何万という知識を頭に詰め込んでおくことは必要です。しかし、操縦席で役に立つのは、それを千くらいに絞り込み、知識を"知恵"に変えておくことなのです。知恵はどんな場面にも応用できるからです」

つまり、知識を詰め込んだだけではダメで、知識を整理し、実務に結びつけて考え、知識を「知恵」に変換しておかないといけない、ということなんでしょうね。

さらに植木社長は、こんなこともおっしゃっています。

年2回の役員面談で、植木が「明日、きみが入院したら、誰が役員をやる?」と聞くと、当初は「それは社長がお決めになるでしょう」という返事が返ってきた。
「それ、違うやろ」。空の常識では、機長が気を失った場合まで想定してチームを育成する。それが、仕事の責任なのだ。だから彼は、「いつ何が起きても、自分の代わりを務められる人財を育てておくのが務めだよ」と諭す。

うう、最後の言葉は耳が痛い。私は教育屋さんなのに、自分の代わりを務められる人財はまだ育て切れていません。紺屋の白袴です。

そんなわけで、少なくとも私は「知識を得るのではなく、業務に活かせる教育」をモットーに、日々研修にいそしんでおります。

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