オルタナティブ・ブログ > 谷誠之の 「カラスは白いかもしれない」 >

人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

5. 顧客満足度の向上は何のため?

»

今回からしばらくの間、「顧客満足」について語っていこうと思っています。

今日のテーマはズバリ、「なぜ、『顧客満足度』を向上させなければならないか」です。
何をいまさら・・・と思わずに、少しだけおつきあいください。

先日、こんな話を聞きました。ある有名ブランドの直営店舗(ブランド名は伏せておきます)では、顧客満足だとか、従業員満足だとかってのを一切考えてない、というのです。
(注:そのブランドの作り手側、デザイナーさんとか職人さんとかはどうかわかりません。あくまでも店舗の話です)

例えば店のエアコンが壊れて店舗内が灼熱地獄になっても、エアコンを直そうとはしないのだそうです。従業員はおろか、お客さんもその灼熱地獄の中で買い物をしていたそうです。経営者層は、従業員・・・店舗の販売担当者ですね・・・に対して平気で「嫌なら辞めてもらって構わない。君たちの代わりはいくらでもいるから」と言うのだとか。各従業員にはノルマがなく、遊んでいてもいい代わりにいくら売れても達成感やボーナスというものはないのだそうです。なんだかここまでくると作り話のようですが、実際のその店舗で働いていた人から聞いたのだから、まず間違いないでしょう。

で、こんなとんでもない店舗が・・・めちゃくちゃ売れていたのだそうです。なぜか?そこが、世界的にも有名なブランドの直営店だから。ブランド力や商品の魅力が絶大で、いくらお客さんや従業員に冷たくあたっても売れるんですね。売れているのだから、これ以上の改善は必要ない、というわけです。

ここに、「なぜ顧客満足度を高める必要があるのか」の明確な答えがあります。
(と同時に、「なぜ従業員満足度を高める必要があるのか」の答えもあるわけですが、それはまた次の機会に)顧客満足度を高める理由はただひとつ。

継続的に売上を上げ続けるため

です。

上記有名ブランドの直営店ほどひどくなくても、競争にさらされていない会社の社員食堂(近所にその社員食堂ほどの品揃えのあるレストランがない)が「安いけどまずい」ってのはよく聞く話です。その食堂を利用する人が減らない限り、社員食堂は今以上に顧客を満足させる必要がないってわけです。

たいていの企業、商品・サービスは、常に競争にさらされています。その競争に打ち勝つために、商品・サービスの品質や費用対効果を上げ、顧客に満足してもらう必要があるわけですね。逆に、競争原理の働かない市場においては、顧客を満足させる必要がないのです。前述の有名ブランドはブランド力があまりにも絶大で、そのブランドの商品を持つだけで顧客が満足します。ですから店舗が顧客満足のための努力をする必要がないのです。社員食堂も競争原理が働かない限り、いくら「もっとおいしくしろ」といっても聞き入れてくれないでしょう。

千葉県にある夢の国。本屋さんに行けば、とってもたくさんの本が並んでいるほど、あそこはサービスの塊、顧客満足(満足を通り越して感動)のるつぼです。彼らは競争をどのように考えているのでしょう。米国ウォルト・ディズニー・カンパニーの経営者層は、

我々のライバルは、他の遊園地ではない。
ゲストが比較するであろう、すべてのサービス業である。

と言ったそうです。つまり彼らにとってライバルは無数にあるわけです。他の遊園地はもちろんのこと、動物園、遊園地以外のレジャー施設、ショッピングモールやデパート、映画館、(日本だったらスーパー銭湯なども含まれるでしょう)、果てはホテルや病院まで、サービスを提供している場所はすべて自分たちのライバルであると認識し、それらに常に驚異を感じています。だからこそ、もっともっとゲストに満足を、感動を与える必要がある、と考えているのですね。











Comment(0)