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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

「問題」と「課題」の違い・その1

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今、問題解決系の研修を作っています。勉強のために様々な本を読んでいると、人によって言っていることは違うけど、おおむね同じことを述べていらっしゃるなぁ、という気がします。いわゆる「大同小異」ってやつですね。

多くの書籍で重要視しているのが、次の3点です。

  1. 「問題」を解決するためには、その「問題」をうまく発見しなければならない。
    また、「問題」を発見したら、「その何が問題なのか」ということをきちんと定義しなければ、真の問題解決はできない。
  2. 「問題」と「課題」は異なる。真に解決すべきは「課題」である。「問題」をいかに「課題」に落とし込むか、ということが重要である。
  3. 「課題」を適切に解決するには、「何をもって解決したと言えるのか」という定義、または「解決に向けての定量的・定性的な目標」が必要である。

まずひとつめ。当たり前かもしれませんが、「問題」は発見できないと解決できません。ただ漫然と「問題だ、問題だ」と言っていても、解決できません。例えば「ウチは若手社員が育たないのが問題だ」と思っていても、(多少の問題意識はあるものの)それは「問題」を発見したことにはならないわけです。

では、「問題」って何でしょうか。色々な人が色々なことをおっしゃっていて、それらはすべて間違いではないのですが、私は次の定義を採用したいと思っています。

「あるべき姿と現状との負のギャップ」

問題を発見するには、「あるべき姿」が明確になっていなければなりません。同時に、「現状」が客観的に、色眼鏡なしに、ひいき目なしに、正しく捉えられていなければなりません。

多くの人は、「現状」のことを「問題」だ、と勘違いします。

例えば、仕事中に突然お腹が痛くなったとしましょう。あまりにも痛くて、お腹を押さえてうずくまらなければならないほどです。5分ほど我慢してみたのですが、収まりそうにありません。この「お腹が痛い」というのはとても目立つので、これを「問題だ」と勘違いしてしまうのです。「お腹が痛い」というのは、「現状」を正確に表現しているに過ぎません。「お腹が痛い」ということを「問題」だ、と勘違いしてしまうと、どう解決していいかがわからなくなってしまいます。

この場合は仕事中ですから、「あるべき姿」とは、「仕事を継続すること」です。もしかしたら今日の午後に重要な会議があって、どうしてもその会議に出なければ仕事が滞ってしまうかもしれません。となると「問題」は、あるべき姿と現状との負のギャップですから、「お腹が痛くて仕事ができない」とか「お腹が痛くて午後の会議に出席できない」ということになるわけです。

このように、「何が問題なのか」ということを正確に捉えないと、正しい問題解決をすることができなくなってしまいます。まずは、「問題」を正しく捉えることが重要です。

2番目、3番目の話は、また次の機会に。

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