「定量的に示しなさい」と言うけれど
今日は、ちと理屈っぽい話題です。
結論は、「数字は面白い、けど怖い」ということであり、もっと言えば「定量的に表現したことが必ずしも真実を語っているとは限らないから気をつけましょう」ということです。
例えば、ここにハエが10匹いるとしましょうか。変な例でごめんね。
で、そばにハエが好きそうなエサを置いて、「ハエがエサにたかるかどうかを実験した」としましょう。
10回実験して、ハエがたかった結果が次のようになったとします。
1回目 2匹のハエがたかった
2回目 4匹のハエがたかった
3回目 1匹のハエがたかった
4回目 3匹のハエがたかった
5回目 6匹のハエがたかった
6回目 4匹のハエがたかった
7回目 6匹のハエがたかった
8回目 1匹のハエがたかった
9回目 3匹のハエがたかった
10回目 4匹のハエがたかった
事実は、これ↑だとします。しかしこれだと冗長的なので、全体をひとことで言い表すために
ハエがエサにたかる確率は、●●% である
と表現しようとします。
まず、全体の平均を取っちゃうとどうなるか。
10匹のハエに対して10回実験したんだから、延べ100匹のハエがいたことになります。そのうち、2+4+1+3+6+4+8+1+3 = 30 匹のハエがたかったとすると、ハエがたかった確率は 30% だ、ということになります。したがって
ハエがエサにたかる確率は、30% である
と言えそうです。
次に、仮に3匹以上のハエがたかったことを「ハエがたかった」と定義してしまいましょう。1匹、2匹程度のハエがたかった程度では、そいつらは気まぐれでそこに停まっただけかもしれないから数のうちに入れない、というわけです。3匹以上ハエがたかった回数は、10回のうち6回です。したがって
ハエがエサにたかる確率は、60% である
ということになります。さっきの倍ですね。
さらにさらに、ハエというのは不衛生な印象がありますから、とにかく1匹でハエがたかったらもう「ハエがたかった」ということにしてしまいたくなる気持ちもわかります。すると、
ハエがエサにたかる確率は、100% である
ということになっちゃいます。
逆に、とっても厳密に、8匹以上のハエがたからないとそれは「ハエがたかった」ことにならないとすると、そりゃぁもぉ
ハエがエサにたかる確率は、0% である
ということになってしまうのです。
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世の中、実験の結果や結論だけが伝わっていっちゃう傾向があります。情報の発信源は、どんな実験をしたのか、その結果どうなったのか、結果からどのような結論が導き出せるのか、ということをちゃんと伝えているはずなんですけど、それが口コミやブログ、ツイッターなどで広がるときには、結論しか伝わらない(場合によっては異なる結論が伝わる)ことが多く存在します。
みなさんも、実験の結果だけが書かれてある文章には気をつけましょうね。