オルタナティブ・ブログ > 谷誠之の 「カラスは白いかもしれない」 >

人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

「勝ちグセ」と「負けグセ」

»

細かい理屈はヌキにして、「勝ってばっかり」の人と、「負けてばっかり」の人がいることは事実です。短絡的に「勝ち組」「負け組」(ああ、この言葉も流行遅れの感があるなぁ)と分けることは好きではないのですが、どうやら人には「勝ちグセ」とか「負けグセ」のようなものがあるような気がします。

先日友人と話しをしていたら、その友人の友人(私とはアカの他人)が、ある国家試験を6回連続で落ち続けているんだ、という話しをしてくれました。その国家試験は年に1回で、友人の友人はその試験に合格しないとできない仕事(たとえば医師国家試験みたいなもの)に就きたい、と思っているんだそうです。

勉強不足なのかどうかはわかりませんが、その人明らかに「落ちグセ」「負けグセ」がついていますね。思い込みとは恐ろしいもので、3回も連続して落ちて(負けて)しまうと、「次もまた落ちて(負けて)しまうんじゃないか」と思い込んでしまうわけです。

逆もまたいえます。2回、3回連続してうまくいけば、次もまたうまくいく、と思い込みます。「自信」というのはこういった思い込みと慣れの結果です。

だいぶ昔のことですが、こんな話を聞いたことがあります。
ある小学校で、跳び箱がギリギリ飛べない生徒を何人か集めて2つのグループに分け、ある実験をしたそうです。
一方のグループには「跳び箱が飛べている」様子を映したビデオを何度も見せます。そしてその直後に跳び箱にチャレンジすると、40%以上の子供が「今まで飛べなかった高さの跳び箱が飛べるようになった」んだそうです。
もう一方のグループには「跳び箱を飛ぶのに失敗している」様子を映したビデオを何度も見せます。そしてやはりその直後に跳び箱にチャレンジさせてみたのですが、ほとんどの生徒は、やはり跳び箱を飛ぶことができなかったそうです。

つまり、自分や他人の成功例や失敗例を目の当たりにして、その結果に引きずられてしまうわけですね。「また成功するだろう」「また失敗するだろう」という、思い込み。この思い込みがとっても重要で、かつとってもやっかいなわけです。

何かにチャレンジする前には、十分に準備をしたり、勉強したり、練習したりします。それは学習するという意味ももちろんあるんですが、仮想的に成功体験を積むという意味もあるんですね。成功体験を積めばそれが自信につながり、「自分はできる」という思い込みにつながります。(その思い込みがひどすぎると慢心につながるかもしれませんが)

逆もまた真なり。何度も失敗していると、「次もまた失敗する」と思い込んでしまいます。その思い込みが体を萎縮させたり、本来の実力を発揮できなかったりすることにつながってしまいます。つまりどちらも「連鎖」するのです。

この連鎖、特に負の連鎖を断ち切るのは非常に難しいといえます。とにかくどんな方法でもいいから、成功体験を積むことが大事です。もしハードルを下げることが可能であれば、少しだけハードルを下げて、とにかく成功体験を積む。そして、ハードルを元に戻す。「負けグセ」がついている人の半分は、本当に負けているのではなく、思い込みが邪魔をしているんだと思います。まずは、思い込みを断ち切る工夫からしてみませんか。

Comment(0)