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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

ソフトウェアの違法コピーについて

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ビジネス ソフトウェア アライアンスが、2007年におけるコンピュータ・ソフトウェアの違法コピー状況を調査した「第5回世界ソフトウェア違法コピー調査」の結果を発表しました(ソース)。

これによると、日本における2007年の違法コピー率は23%と世界で4番に低く、一方損害額は約2112億円(1ドル118円換算)と世界ワースト9位という結果だったそうです。

ここではどんなソフトウェアが主に違法コピーされているか、ということまでは書かれていませんでした。しかしOSそのもの、Office スイート、一部の高額な開発環境、ウィルス対策ソフト、ゲームといったソフトウェアが違法コピーされているんだろうなぁ、ということは容易に想像がつきます。

最近特に感じることがふたつあります。

ひとつめは、世の中における ITリテラシーは、ITに携わっている人が想像しているよりもはるかに低いということです。例えばご家庭でパソコンを2台持っている(自分用と子供用、など)人が、あるソフトウェアを1ライセンスだけ購入して、それを2台のパソコンにインストールしてしまっても、それが違法コピーだという認識をまったくお持ちでないということに何度か遭遇しました。

    「だって、インストールできるじゃないですか・・・」

いや、違法駐車と同じでね。できる、ということと、してよい、ということは違うのですよ、と説明しても納得していただけないんですよ。ものは根本的に違いますけど、アダルトアニメを違法コピーされている現状も、同じリテラシーの低さを感じます。

多くの利用者からは、作り手の利益・・・ソフトウェア(やアダルトアニメ)が売れて初めて作り手の利益になる・・・が理解されていないのだと思います。いや、利用者にとってはどうでもいいのかもしれません。一方でとっても優秀なフリーウェアも存在します。それはどれだけコピーして利用しても(一般的には)違法にならないわけで、「どうしてこっち(市販ソフト)はコピーしたらダメって言うのにそっち(フリーウェア)はいいのさ」って食ってかかられたら、非ITの方々を納得させられるような説明ってとっても難しいんです。

そういえば昔、Microsoft Office 2000 は違法コピーし放題でした。Office XP でアクティベーションが必要になった時に、私の友人は真顔で「これでマイクロソフトは Office スイートのシェアを落とし、大幅に売り上げが落ちるだろう」と言っていました。違法コピーが減るだろうとは思いましたが、それによって売り上げが落ちる、という理屈はどう考えても理解できませんでした。実際にはボリュームライセンス版が流布して、違法コピーは減らなかったわけですが。

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もうひとつ考えるのは、例えば技術的に絶対違法コピーできないような仕組みが確立されたとしても、2112億円分経済がうるおうとは思えない、ということです。違法コピーをする人の大半は仕方なくそのソフトを買うようになる、のではなくて、そのソフトを使わなくなるだろう、と。違法コピーだから使っているわけで、買わないと入手できないんだったら使わないよ、という人のほうが圧倒的に多いのではないかと思います。

閑話。私のある知人が、ある日ボヤいていました。この人は Windows 2000 を違法コピーで入手して使っていたのですが、ある日改心したのか何なのか、Windows XP を買ってきて自分が使っているPCにインストールしたんですね(しかもアップグレード版ではなく、フルパッケージ版)。で、最近になって Windows Vista が出ましたねって話を振ったときにボヤかれたんです。

「そういえば、Windows XP なるものを買ってインストールしたけど、あれは失敗だったね。買わなきゃよかった。だって、一度も使ったことがないんだもの」

いや、あなた、毎日使っているじゃないですか・・・この人にとっては、ソフトウェアというものは「スタート」メニューから選択して使うものだ、という認識のようです。せっかくインストールしたのに、「スタート」メニューからただの一度も Windows XP なるものを選択したことがない(そもそも、そんなメニューはない)、と。ギャグや冗談ではなく、真剣にそうおっしゃっていたんですよ。

「Windows 2000 の時代に比べて、『スタート』メニューの見た目やエクスプローラの見た目なんかが変わったでしょ?あれが、Windows XP なんですよ」てな説明をしたんですが、ピンときてくださいませんでした。ああ、教え屋さん失格です・・・。t

ただ、今にして思えば、その人は「Windows 2000 にできなくて、Windows XP だったらできるというようなことをやってない(あるいは知らない)」というようなことを言いたかったのかなぁ、という気もします。だから Windows XP を買ったのはもったいなかった、と。だからといって、その前に入手していた Windows 2000 は違法コピーだったわけですからね。やっぱり、買わなければならなかったんです、うん。

Comment(8)

コメント

ponpon

この認識の甘さは、教育界でも同じですね。
特に教育委員会。学校の児童用のパソコンが30台あって、
ソフトの年度予算が8万円???
何のソフト買うの? しかもフリーウェアー、シェアーウェアーは、ダメなんだそうです。
一太郎やエクセルの箱が30も並んでいる見たら卒倒しそうです。
 「なんでこんなに同じものが・・・・」

Ifreeta

児童用のパソコンにはプレインストールされているオフィスや最初に同時導入した教育ソフトのみを使用しますので、追加で購入とかはあまりありません。また、入れているソフトのバージョンアップ料金は高くないし、学校用は特別価格も容易されています。だからこそソフト購入予算は少ないのです。
最近は、ボリュームライセンスで購入してくださいとのマイクロソフトからの指導もあっています。オフィスは、リースしたくないようです。

谷 誠之

ponponさん、コメントありがとうございます。

確かに Ifreeta さんがご指摘なさっているように、いちど導入されたパソコンに新規にソフトウェアを導入する、なんてことは少ないんでしょうね。いわゆる「アカデミックパック」のような、文教関係専用の価格体系があるソフトハウスさんも多いですしね。でもフリーウェア、シェアウェアがだめなら、LZH形式のファイルを扱うのなんか大変でしょうねぇ。それともそもそも、ファイルを圧縮するなんてことはしないんでしょうか。

Ifreeta さん、コメントありがとうございます。なるほど、そういえばマイクロソフトさんには文教専門の部隊がありますね。おそらく他の大手のソフトハウスもそうなんでしょう。昔はボリュームライセンスという概念があまり浸透していなかったので、ponponさんがおっしゃるとおり「同じ箱がいくつも並ぶ」という事態も結構ありました。私は文教関係から離れてだいぶたちますが、今ではボリュームライセンスの概念は浸透しているのでしょうか?

Ifreeta

マイクロソフトさんからオフィスのリースは認められなくなってますので、今後はボリュームライセンスでお願いしますと連絡がありました。
前に中学校に導入した時のソフトとシステムの価格は40台で数百万だったと思います。初期導入費が高いので追加は無理でしたねえ。途中からネットがはやりましたので、フリーソフトも入れましたが、再起動したら元に戻る設定だったので運用は簡単でしたよ。

谷 誠之

Ifreeta さん、コメントありがとうございます。
「再起動したら元に戻る」というソフトウェアは、ある業者さんが私が勤めていた教育事業者にも売りに来ました。しかしIT技術教育は2日、3日間続くようなコースもあるので導入できませんでした。

40台で数百万、仮に400万円として1台10万円。「1台10万円」と書くとそんなもんかな、と思いますが、さすがに400万円ともなるとすごい金額ですね。

ponpon

Ifreeta さんのおっしゃるとおりなのですが、初期投資を渋るのは、行政の常です。
 ソフトの導入、周辺機器の導入は、ほとんど現場に相談はありません。5市町村を回っていますが、現場に相談があったのは、1町村だけです。
 EXCEL・WORD・パワーポイントの先生たちの研修をお願いします。と言われて、当該校へ行ってみると、児童用の教育ソフトだけ、しかも一太郎スマイル&
ハイパーキューブネット&ベネッセ・・・・と同じようなものばかり。
エクセルワードはどこにもありませんでした。
 さすがに最近はありませんが・・・
30台あって、5台に1台のインクゼットプリンターに1方向のプリントサーバーで文字化けの連続、インクのカラが山のように、なんてのはざらです。
ランニングコストを考えずに初期投資を抑えることばかり。
税金の無駄遣いだと思うのですが・・・・

mm70663

> 違法コピーが減るだろうとは思いましたが、
> それによって売り上げが落ちる、
> という理屈はどう考えても理解できませんでした。
 海賊版は置くとして。
違法コピーするにしても1本は買わないといけない。
違法コピーができなければ、
高価なMS Officeを台数分買うのは無理なので、
もっと安いStarSuiteやKingsoftOffice、
あるいはフリーのOpenOfficeを使うようになる。
と、そういうことではないでしょうか。

実際、PC9801時代には、
コピープロテクトをかけない一太郎が、
その他のコピープロテクトをかけたワープロソフトを
駆逐してしまいました。

谷 誠之

mm70663 さん、コメントありがとうございます。
そういえば昔は「1人の正規ユーザーの影に30人の違法ユーザー」と言われていました(もしかしたら、今はもっとなのかもしれません)。

確かに一太郎は「コピープロテクトをかけない」というジャストシステムの方針が当時としては斬新でしたね。それに比べて Lotus 1-2-3 のプロテクトのきつかったこと!(ハードディスクにインストールした後で、ハードディスクをデフラグしただけで「違法コピー」扱いされたものです)

現在でも Microsoft Office がもっともシェアを獲得しているのは、(ボリュームライセンス版が)違法コピーできるから、なのでしょうか・・・

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