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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

ワークライフバランスってなんだろう?

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WLB。ワークライフバランス。

仕事と生活の調和。

・・のはずなのですが、最近ではもっぱら、「仕事は仕事! プライベートはプライベート!」ときっちり分けることだったり、「残業せず、仕事のボリュームとか繁忙期とか関係なく、定時に終わる」ことだったり、「とにかく有給休暇は消化しましょう」だったり、なんというか、細かいHow、しかも、「制約」を設けることのほうに偏っていないかなと、ちょっと気になっています。

働き方改革は、そりゃ大事です。

上司が残っているから部下は仕事は終わっているのに帰れない、なんてばかばかしいし。
長時間労働している人ほど評価されるってのは、アホくさい。

知り合いの若者(30代)に、

「以前いた職場は、終電まで会社にいることが"正義"で、先に帰った上司から抜き打ちで電話かかってきて、それも22時ごろ。『お前、今、どこにいるんだ』『会社ですよ』『本当か?証拠示せ』みたいなやり取りがしょっちゅうあった。意味わかんない」

って話を聴いたことがあり、

「そんな会社、とっと辞めて正解だったね」

と思ったものでした。

この上司、私よりうんと若い世代だろうと思いますけれど、そういう価値観で育ってしまい、部下を時間で縛るということで存在を誇示するって、なんとも悲しい話です。

ま、それはさておき。

ワークライフバランスは、働き方改革とか、自分らしく生きるとか、女性活躍推進とか子育て支援とかいろんな文脈で語られ、WLB大事という認識が共有されたのは良かったのですが、なんかちょっと偏りがあるというか、しゃくし定規すぎる面も出てきているのかな、と思う話もちらほら聞こえてきます。

たとえば、「何があろうと定時で帰る」「残業0!」というのは、時に、働く側にとって、やりづらさを招きます。

「あー、あと1時間やれたら、すっきり終わるのに。残業してぇ~」

と思う人もいるはず。でも、定時に上がる!が必須事項だと、その「1時間分」を翌日に持ち越し、それが頭の中にあるため、ずっとすっきりしない気分で過ごさねばならぬ、ということもあるでしょう。1時間残業したほうが、気分良いプライベートタイムを過ごせるかもしれないのに。

あるいは、「仕事に関連する勉強とか調べもの」をしたいなと思っても、土日に仕事関連の何かを触ったりしてはいけない、というルールがあるところもあるようで、そんなにきっちり仕事と生活を分けなくてもいいんじゃないかと思ったりもします。(たとえば、会社のPCで、仕事関連のことを考えたり調べたりしたくても、土日ログインするとアラートが、みたいな仕組み。悪いとは言っていませんが、制約によって、あわあわあわ、と思う人もいるという話を聴きます)

本来、WLBというのは「調和がとれている」ことが大事なんであって、そこには、ある程度、「自分で選べる」「自分で決められる」という余地が残っているほうが、誰にとってもhappyな、生きやすい気がするんですよね。

上述の「上司が会社にいるかどうか確認するから会社にいる」なんてのは論外としても(パワハラですしね)、「自分がどうしても片づけたいことがあったら、残って仕事する」のも、「土日に関心あるテーマを調べてみる。それを月曜日にすぐ仕事で生かす」なんてこともあっても良かろうと思うのです。(自分で選んでいるならば、ってことです)

とはいえ、ここに要注意なポイントがありまして。

自分がよいなら、定時外でも土日でも仕事に関連することやってもいい、となると、とてつもなく「働きすぎる」人が出てくるのですよね。本人は頑張っているからいいと自己評価しているのだけれど、周囲から見ると明らかにおかしいワーカホリック的な人。「過剰適応」といい、それは心身にダメージをもたらす可能性があると考えられてもいます。

「過剰適応」って、自分でも頑張っている自分!という自負があるし、組織から見れば、「よく働くひと」と決して評価悪くないので、適応ぶりに拍車がかかっていくケースが多いようです。

そうなると、実は、WLBが崩れているってことになるのだけれど、自分で気づきにくい。身体おかしくなって、あ、と思った時は結構大変なことになっていたりして。

WLBのBalanceって調和だとしても、その調和、自覚だけに頼っていると、おかしなことになることもあるので難しいものです。

自己決定権が侵されないのは基本的に幸せなことだとは思うのですが、歯止めがなくなって、自分で"決めて"働きすぎて、身体壊してってのもよくないものですしね。

だから、自分で自分のコントロールをするとともに、家族や上司なども見守って、ある程度ブレーキかけたりしないといけないケースもあるのかなと思います。

私の場合は、仕事中に生活のことをちょいちょい考えていますし(上司に怒られるか?!)、土日などに仕事に関連するアイディアを紙に書いたりしていることもあります(上司に怒られるか?!)。

あまり公私の区別がないのですが、これをWLB(Work Life Blended)と呼んでいます。

いい感じでブレンドしているのは、好きなことと仕事があまり乖離していないからだと思います。


Work Life Blendedって、きちんとエネルギー配分ができているのなら悪いことじゃないと思うのだけれど、どうなんでしょう?(皆さんもそうしたほうがいいですよ、という意味ではなく、あくまでも私の場合は、それが性に合っているってだけですけど)

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