新著『事例で学ぶOJT 先輩トレーナーが実践する効果的な育て方』解説④ 「みんなで育てる」
『事例で学ぶOJT』を読んだ方から、
「みんなで育てる」
「組織を上げて育てる」
という点が新鮮だった、驚いた、確かにそうだね、といったコメントを時々いただきます。
人は本来、"みんな"で育てるものだと思うんですね。
お父さんお母さんだけの核家族の中で子どもを育てるより、おじいちゃんおばあちゃん、あるいは、近所のおじさんおばさん、ママパパ友、あるいは、よその子どもたち、地域の人、そういう多くが関わってくれるほうが、育成の担当者(子育てから親)の負担は楽になりますし、何よりも子どものためになることでしょう。
OJT研修でよく例に挙げるのですが、盆暮れに田舎に帰って、じじばばと接したり、いとこ(最近は、いとこという存在も減っているのですが)や近所の初対面の子どもたちと関わったりする中で、幼児の言語能力が発達したり、運動能力が格段に上がったりすること、経験ありませんか?
田舎に行く前は、自転車乗れなかったし、結構練習に付き合ったけど、なかなかうまくいかなかった。
けれど、田舎で親が関わっていない間に、なぜか自転車に乗れるようになっていた、とか。
田舎に行く前と帰ってきてからとでは語彙力が格段に違う。増えている、とか。
そういうこと、たくさんあると思います。
新入社員、若手社員の育成も同じで、多くの人にもまれる中で、刺激を受けたり、指導を受けたり(この指導と言うのは有形無形様々です)して、人の成長が支援される、ということはよくあることです。
OJTトレーナーという役割を決め、1対1で新入社員に指導する人をアサインする方法は、多くの企業がとるのですが、これは、第一窓口を決めるという意味で合って、育成の全権を担わせるというものではありません。
組織を上げて、周囲が個々人の成長に関わるようにすることが、成長を早めますし、一般的には、質も上げます。
(大勢が関わることで困ることがあるとすれば、「いろんな人がいろんなことを言う」ことです。いろんなことを言うのが悪いわけじゃなくて、「その指導は困る」ということを教える人が登場することが問題です)
大勢が関わる時に、いろんなことを言う人がいて、その中に、そんなこと教えちゃダメだよ、といったことを言ってしまう人が出てこないように、事前に方針を決めたり、指導する側で意識合わせのミーティングをしたりするのですが、それはある程度、予想される副作用として、やはり、大勢が関わることのメリットのほうが大きいと多くの企業で思われています。
私もそう思います。
なので、OJTトレーナーは、一人で抱え込まず、周囲を巻き込む工夫を取り入れたほうがいいし、周囲は、OJTトレーナーに遠慮せず、若手社員の成長に関わることが大事です。
先ほど、有形無形に関わる、と書きましたけど、直接指導をするだけじゃなくて、見守るといったことでも成長に関わることはできます。
原稿では、「組織を上げて寄ってたかって育てる」と記載していたら、編集者から「寄ってたかって」はネガティブな意味で使うことが多いので、この言葉はやめましょう、と指摘がはいり、「大勢で育てる」「組織を上げて全員で育成に関わる」といった表現に置き換わっていますが、とにかく、みんなで関わるといいことありますよ、と言うことが伝えたかったことです。
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