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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

OJTは業務を教えるだけじゃないんです。

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拙著 『事例で学ぶOJT 先輩トレーナーが実践する効果的な育て方』(経団連出版、2021年7月刊行)を松井さんにプレゼントしましたところ、丁寧にお読みくださり、さらに書評を書いてくださいました。

ありがたや、ありがたや。

こんな状況でなければ、ビール大ジョッキをどーんとおごりたい気分です。

松井さん、ありがとうございました。(m(__)m)

仕事のやり方より大切なことを学ばせよう

このブログを読んで、なるほど!と思ったことがあります。読者の感想を読むと私も勉強になります。

「OJT」というのは、On the Job Trainingの略で、仕事の仕方を教える、というのがもともとの成り立ちだろうと思います。

なので、「OJTをする」というのは、「業務の知識やスキルを伝授すればよい」ことから、「マニュアル化」できるよね、と思うのは当然ですし、なんでも口承するのではなく、文書化していけばよいと私も思います。

だいたい、なんでも口頭で伝えていたら、手間がかかって仕方ありません。
(でも、マニュアル化も進んでいない職場は大半だと思いますけれど。
なぜか? 緊急×重要の話でいくと、マニュアル化は、「緊急じゃないが重要」という、かなり後回しにされやすい作業だからです)

「マニュアル化」できるものはどんどんする。
それを見て覚えられる仕事はどんどん覚える。やってみる。やって覚える。

ただ、それだけじゃないんですよね。働くって。

だいたい、職場の悩みとかトラブルって、知識やスキル不足に起因しているものって少なくないですか?
たぶん、職場の問題は、知識やスキル、つまり、マニュアル化できるものの外側で発生しているんじゃないかと思うんですよね。

例えばですよ。

「なんで、その話、6月中に教えてくれなかったの?私がそれを聴いていれば、●●のところ、早めに手を打っておいたのに」(報連相の問題?)

とか

「●●の仕事って、××さんの担当ですよね。なんで、××さんって他人事みたいにしているんですかね」
(当事者意識や主体性?)

とか

「人に仕事頼む時にあんな言い方ないよね。言っていることは正しいけど、言い方がね、なんだかね」
(コミュニケーションスキルやらモチベーションマネジメント?)

とか

「課長って、いつ相談を持ち掛けると聞いてもらいやすいですかね、いつも忙しそうだけど」
(相手を知る力?)

とか、そういう、マニュアル化できないもののほうがうんと多くないですか?


それもOJTの範疇なんですよね、ってことをこの本では述べているのですが(はっきり書いてないけど、そういうことを述べている)、松井さんの読後感を読んで、「ああ、OJTをそういう風に捉える見方もあるな」と思い出した次第。

21世紀(大げさ!)のOJTは、業務の知識スキルを教えるだけにとどまっていなくて、一人のビジネスパーソンを育てるという壮大なものになっています。(だからこそ、若手社員が一人でOJTトレーナーを担うのには限界があり、組織を上げて育てるってことが大事なんですね)

だから、マニュアル化できていることもマニュアル化できていないことも、マニュアル化できないことも教え、育む。

それがイマドキのOJTなんです。

うちは、「OJTは現場任せだから」という職場、管理職にもぜひ、お読みいただきたい本です。


あらためて、松井さん、ありがとうございました。

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Amazonのカテゴリ別ランキングで17位に浮上した瞬間を目にしました。
(瞬間最大風速)

電子版もまもなく発行される模様です。

#事例で学ぶOJT でつぶやいていただけると嬉しいです。
(今のところ、私のツイートしか出てきません。笑)




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