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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

テレワークで消えた「漏れ聞こえてくる会話」

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先日、人材育成のセミナーに参加して、同じグループになったある企業の人事の方が、こんな話をしていました。

「テレワークになってもある程度仕事はできるのだけど、新人にとっては、習ったこと以上に知識などが発展しづらいという面があって結構気の毒に思っている」

ふむふむ。

詳しく聴くと、こんな風に具体的に話してくださいました。

オフィスに大勢が出社している状況だと、自分の仕事、自分と直接かかわる先輩とのやり取り以外に、なんとなく聞こえてくる大小の声や音がある。また、肌で感じる、職場を流れる空気というのもある。

人は、聴くともなしにそれを聴いていて、「ああ、今、●●が話題になっているな」「最近、××のことが先輩たちの会話にのぼりやすいな」「●●さんは、いつも、××のことで電話しているな」といったことを捉えていて、それで少しずつ、会社のムードとか、仕事の全体感や流れとか、同僚(上司や先輩)が何をしているのかがわかってくる。

オフィスで働いていれば、「今、何かトラブルがあったらしい。みんなわさわさしている」「今日は、穏やかな空気が流れている。平和だ」なども感じる。毎日、いろんなことが起こるんだな、こんな場合は、こういう対処をするんだな、ということをなんとなーく学べる。

テレワークになると、そういう、言葉にならない部分での学びが減る。見ていないものは、存在しないのと同じだから。

これって、旧人にとってはまだしも、新人にとっては、職場での学びの機会がとてつもなく減ることになり、気の毒だ、と。


組織社会化」という言葉があります。組織に社会化されること、平たく言えば、組織になじむ、組織の決まりを覚えたり、使う用語を理解したり、その組織の一員になっていくことですが、この組織社会化(の一部)が、テレワーク中心の新人には起こりにくいのということでもあると思いました。(ここで言っている「新人」とは、「新卒新入社員」だけでなく、「キャリア採用社員」も指します。組織への新規参入者全般のことです)

かといって、「新人と指導担当の先輩は、毎日出社して、物理的に顔を会わせて」と言ったところで、以前のようなオフィスの喧噪もないわけで、この流れは、今後もきっと変わらないはず。

人と人とが直接会わない状況で、多くの人の中で肌で感じて察知していたことをテレワークの中でどう身に着けていくのか、組織の新規参入者の組織社会化をどのように図れば効率と効果が高いのか、新たな課題なんだなと思いました。

人は、「人と接する」ということで社会を発展させてきた、みたいなことを社会学者だかどなたかが昨年のStayHome中新聞に寄稿していました。その「接する」というのが、物理的に離れている状況でもうまくできるのか、時々は、同じ場所、同じ時を共有する機会を設けることがやはり今後も大事なのか、どうなんでしょうね。

新しい生活様式から新しい働き方に移行して1年以上経ちました。まだまだどうすればよいのかは、各社、試行錯誤中だろうと思います。

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これを周囲に勧めたら、同僚が同じものやこれよりもっと凄いものを買って、「在宅勤務の環境が劇的に上がった!」と喜ばれています。

これはたためるので便利で、持ち運べますが、安いので、自宅とオフィスと両方に置いている人もいます。

もっと凄い高さのものを買った人もいて、そうなると、キーボードは別に設置しているようです。

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