気になる「...と言ったかと思うんですけど」(という言葉遣い)
ここ数年、ものすごく増えた言い回しに、
「...と言ったかと思うんですけど」
というのがある。
どういう文脈で出てくるか、例を挙げる。
ケース1:
自己紹介で「エンジニア歴10年です。得意分野はネットワークとセキュリティです」と話し、その後、何かのやり取りで、この自己紹介のことに触れる機会がやってきたら、この方は、こんな風に話すことが多い。
「さっき、僕、セキュリティは得意分野だって言ったかと思うんですけど...」
私は、心の中でこう思う。
『ええ、聴いていましたけど。ご自分では自信ない?』と。
ケース2:
講演やWebinarなどの講師。
「これからは、健康経営が大事なんですね。健康経営というのは・・・(定義)・・・。(具体例)」
としばらく話が進んでから、
「冒頭で、私、健康経営が大事って話をしたかと思うんですけど...」
私は、心の中でこく思う。
『え?自分で話したこと、覚えていないの?』と。
ここ数年で、とても増えたこの言い回し。
最初に気づいたのは、新入社員研修だった。
新入社員が、何か発言する際、「・・とさっき、言ったかと思うんですけど」を連発する。
なぜそんな風に自信なく言うのだろうと疑問に思っていた。
その後、どの年齢にもいきわたり、今や、あちこちで「言ったかと思うんですけど」が聴かれるようになった。
これは、なんだろう?
「先ほどもお話しましたが」ではなく、「先ほども言ったかと思いますが」と濁す感じ。
言い切ってはいけないという心理が働くのだろうか?
言い切ったものの、相手が聴いていなかったら、覚えていなかったら申し訳ないという気持ちがこういう間接的というか、曖昧というか、言い訳のような表現に繋がっているのか?
ずっと不思議なんである。
「させていただく」問題とともに最近、気になる言い回し。「...言ったかと思うんですけど」。
なんとなく、その心理を理解したい。