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オンライン研修で講師が気をつけること(つぎの3つ)(+お知らせ)

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前回書いた「オンライン研修で講師が気をつけること(とりあえず3つ)」が私周辺で小さく話題になったので、続きです。

前回は、「リアル以上の笑顔で」「声を必要以上に張らない(大声出さない)」「受講者の貢献に反応する」の3つを紹介しました。

今回は、「オンラインツール」に少し依存した話をします。


Zoomを使う場合で考えてみましょう。

まずは、気を付けたいこと3つを紹介します。


1.Zoomの練習時間を取る

Zoomに慣れていない方、始めての方は当然いらっしゃいます。さほど操作が難しいツールではないのですが、それでも、初めて見るものというのは何だって戸惑います。

だから、最初の5分くらいでZoomも操作解説とその練習時間を取るとよいのです。

たとえば、画面構成を話す。「チャット」というのが何で、どうやって表示しておけばよいか、参加者一覧はどのように見えればよいのか。「ギャラリービュー(全員がずらっと並ぶ)方法」と「スピーカービュー(話者がフォーカスされる方法)」の切り替え方、「いいね」の押し方など、説明しては、試していただきます。


こうやって一緒に操作しているうちに、「そんなに難しくないな」と思うようになってきます。ツールですから、要は慣れです。

この時、一つ注意することがあります。「ブラウザで参加している方」は多少画面が異なる点です。詳細は省きますが、「ブラウザで参加している方は、これが表示されませんが、その際は、・・・」といった解説、フォローが必要です。


2.ビデオoffでいいですよ、という

4月は新入社員研修を担当していたので、基本的に「ビデオon」(つまり、受講者が顔を出している状態)になっていました。というのは、「出社(に相当)」していることを人事部も確認したいからです。

しかし、それ以外の研修では、ビデオoffでOKだなと思っています。

理由はいくつかあります。
・ビデオoffにしたほうが多少は重さが軽減する

・顔が見えていると常に緊張していないといけないが、顔が出ていなければリラックスできる(必要以上の緊張を強いるのは、学習効果にも影響するので、顔出していただく必要もないかな、と)。

・他の受講者の顔が見えているとかなり気が散るので、研修に集中するためには、余計な情報が視界に入らないほうがよい。

これ、私が最近、いろいろなZoomセミナーに参加して感じることなのですが、全員がビデオonになっていると、いちいち、いろんな方が気になり、気が散るんです。「どうしてこんなにカメラに近づいてドアップなのだろう?」「この背景には何を使っているのだろう?」「バーチャル背景の中に半分溶け込んで透明人間みたいになっているけど、気づいていらっしゃるのかしら?」「今、後ろを犬か猫が通ったわね」などなど、真剣に凝視しているわけじゃないのですが、なんか気になる。

さらに、人間って、誰もが微妙に常に動いているので、Zoomで「ギャラリービュー(全員が見える状態)」にすると、画面全体で、あちこちが微動しているんですよね、これ、結構集中力をそぎます。

研修に参加する側は、学びに集中したいので、頭で同時に処理すべき情報は少ないほうがいいはずです。なので、ビデオはoffで全く構わない、ということにするとよさそうです。(着席確認が必須という場合ももちろんあるのは承知しています。条件が許せば「ビデオoff」はおススメします)

※グループワークをするときだけonにしていただくと、「互いに顔が見えると安心」と言いながら会話している場面をよく見ます。

3.チャットを活用する

折角チャットという文字でコミュニケーションできるツールがあるのですから、質問でも感想でも気づきでも単なる独り言でもチャットに投稿していただくようにします。最初にいくつかチャットで書き込んでいただくと、「そういうもんだな」と思うようになってくるので、チャットが活性化します。

できるだけ「全員あて」にしていただくと、受講者同士でも刺激となるので、学び合いの環境が醸成できます。

もちろん、「ちょっとトイレ行ってきます」「在宅なのですが、宅配便が来たので対応します」といったことを講師あてにプライベートチャットで送っていただくのもOKです。そのあたりの使い分けもあらかじめ説明するとよいです

そして、講師が意識したほうがよいことは、「チャットのコメントを拾い、反応し、講義内にも生かしていくこと」です。これは前回も書いた通りです。

「〇〇さんが感想を書いてくださっていますが、その通りなんですね。具体的に言うと・・」という感じです。自分の書いたことが講師も読んでいて、拾ってくれる、というのは案外嬉しいものです。

ただ、チャットも「全員がチャットに入力してください」といって全員のチャットが並ぶまで待っているというのは、受講者にとってはプレッシャーで、チャットでは参加したくない、本当にただ聴いて、自分でじっくり考えたり、ノートに書いたものを読み返したりしたい、と思う方もいらっしゃるので、「全員参加のチャット」にこだわらないほうがよいです。

<参考>

学習の動機付けモデルARCSの中に「コントロールの個人化」という項目があります。自分のペースで参加できる、自分の判断、選択で学べるということが学習のモチベーションを上げるということにもつながるのですが、ビデオもチャッも使う使わないは、個人で判断できるようにするとよいと思います。

いろいろ細かい規定があるほど、不自由な気持ちになり、学習へのモチベーションが制限されますよね。

=====お知らせ=====

オンライン研修ってどんな感じ?を体験したり、ちょっとした自己学習をしたいなと思っていたりする方も多いと思われる昨今。

オンライン研修を無料で体験できるイベントを企画しました。

オンライン・デイズ」 (7月27日(月)~8月11日(火))

私は、7月29日(水)に2コマ担当します。

1.効果的なオンライン研修 双方向で参加型の進め方 (グループワークあり。ブレイクアウトルームを使います)

2.OJT事例をひたすら紹介しまくる"聴く"だけセミナー (本当に聴くだけです。チャットは使います。)

いずれもGWごろに実施したものとタイトルは同じですが、中身を少し変更します。

以前ご参加の方もまたお越しくださいませ。

他にもセキュリティ、AWS、Azure、Microsoft Teamsなどいろいろありますよ。

サイトをご覧いただければと思います。 → コチラ

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ARCSモデルといえば、この本、お勧めです。相当詳しく書いてあります。

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