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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「勉強なんかして目覚めちゃって離職したら困る」という謎の悩み。

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人材開発に関わる方たちといろいろな場面で直接に間接に交流していると、時々、こういうコメント、メッセージ、お声が届きます。


「キャリア研修なんか導入して、目覚めちゃって、"僕がいる場所はここじゃない"なんて思い、辞められても困るから、キャリアについては研修とかサポートとかしない方針」

「年齢問わず、学び直しをしなければいけない時代だとは頭では分かっているけれど、じゃあ、社員が大学行ったり、アフター5に何かのスクールに行ったりして、その結果、力ついて、よそへ行ってしまったらどうするんだ、という役員がいるんです」

「海外留学をさせたり、国内でMBA取らせたり、と投資した途端に離職されたら困るから、"辞めない"という誓約書を書かせたらいいのではないかという話も出てまして」


・・・・ええと。

・・・・ ええと、ええと。


今、昭和じゃないですよね、平成でもない。令和、令和。

今、20世紀じゃないですよね。21世紀ですよね。それももう21世紀を20年くらいやってますよね。

ええと。

たとえば、ですけれども。

「勉強して目覚めて離職したら困る」

ということですが、

だったら、

「ずーっと眠ったままの社員でOKですか?」

と思うわけです。



「勉強したら実力ついて転職しちゃうかも」

が心配ってことは、


「勉強しないままくすぶった社員をたくさん抱えているのでよいですか?」

と思うわけです。


なんか違うー!絶対に違うーーー!

「勉強して目覚めたけれど、それでもなお、この会社で活躍したい」と思うような会社を作っていけばよいのではないか。

「実力ついたからこそ、やりたいことがより実現すると思える」職場にするという方向で考えればよいのではないのか。

・・・とそんなことを思うのです。

「勉強して実力ついたら離職してしまうかも」というのは、ひじょーに小さな悩み。

グローバルな世の中で、針の先ほどのちんまりした悩みのようで、
もっと大所高所から、高く大きな視点から考えてみたいなぁとそんなことを考えております。

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大学に通っておりますと、「定年退職したから、基本から学び直したくて」といって経営学の講座に来られている方もよく会います。

キャリアコンサルタントの講座でも、「人事部長を退職し、その後、もっと世のためになることをしようと国家資格を取り、若者の就労支援などに携わっているけど、勉強し続けないと」といってこられている60代70代にもよく会います。

何歳になっても学ぶことは大事だなぁと先輩方を見て思うわけですが、こういうシニア世代だけではなく、現役世代はもっともっと学習しなければ変化の激しい世の中に気づいたら置いてきぼりを食うという懸念もあって、一方で、昔と違って、勉強の場は各段に増え、値段も安くなり、数千円でも勉強できますし、下手したら、タダの学習機会もたくさんあるんですよね。JMOOCとか。

 

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