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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「よくない!」と思うことは人それぞれで、だから、難しいのだ。

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知り合いに「昼休みに昼寝するのはよくない」という考えの人がいる。

「昼休みに昼寝なんかするから、身体が居眠りモードになり、午後もだらだらするのだ」、たしか、そんなことを言っていた気がする。

とはいえ、昼休みは勤務時間ではないので、何をしようと勝手だし、当人から「何をしようと勝手じゃないか」と言われたら、それ以上のことは言えないだろう。

私は、始業時刻を過ぎて、朝ご飯を食べている人がとても気になる。

それは家で、あるいは、通勤途中で片づけてこようよ、と思い、どうしても、というならせめて始業前におにぎり食べ終わろうよ!と思う、けれど、じゃあ、おやつを食べている人が気になるかといえば、「仕事していればお腹もすくものだ。おやつ食べて、何が悪い?」と思うわけで、朝ご飯とおやつの違いはなんだ?と自分でもよくわからない。

服装についても、あまりに露出の激しい服装をされると、「ここは仕事場なので」とまゆをひそめてしまうが、男女問わず、他人の服装は全く眼中にないという人もいる。

ここに挙げたのは、あくまでも例だ。

とにかく、人によって気になる点、いやだなぁと思う点は多様で、それがトラブルの元になることもあるんじゃないかと思う。

明確にルール(人事規定とか服務規程)に記載されていないことというのは、どうしても、人それぞれになりやすい。

むかーしのこと。

へそ出しに近い格好をしている人がいて、いくら何でも公序良俗的にどうよ?と思ったので、その人の上司に相談したら、

「ああ、彼女は、昔レースクイーンだったらしいから、仕方ない」

という、意味不明な解説を受けて、その件は、そこで終わったことがあった。

それがどうした?と何度か脳内でリフレインしたが、「レースクイーンだったのだから、へそ出しはいい」という話がなんだかよくわからない。職場は自動車レース場じゃないし。(そして、レースクイーンだったというのもガセだった)

で、人によって気になることがまちまちで、その許容度が高い人と低い人というのもいる。

ある行為が気になる、というのと、許せん!というのは別物で、「気になるけど、まあ、いいや」と思える場合と「気になるから、何とかしてくれ、そうじゃないと自分の気分が収まらない」と考え、行動する場合があると思う。それも同じ人間の中にも異なる尺度があるので、やっかいである。「朝ごはんは気になるからやめてほしいが、へそ出しは気にならないから目くじら立てることもあるまい」のように、個人の中に文句言いたいことと言わなくて済ませられることが混在する。

人によっていろいろ言うのがよくない。
だったらいっそのこと全部ルール化すればいいのか?というと、それも気持ち悪い。

「スカートはひざ下15cm」「ソックスは伸ばして履く」など校則でがんじがらめな中学生じゃあるまいし、いい大人が集まった組織で、事細かにルールを決めるというのも、今の時代、そぐわない。

というわけで、人が気になること、許容できることには多様性があるわけなのだが、自分が気になることは他者は気にならないかもしれないし、自分の気にならないことは他者が気にしているかもしれないし、自分がよかれと思っていることを許せんと感じている人もいるかもしれないのだから、うまくやっていくためには、「多少のことはまあいいか」と思う、おおらかさなんだろうと思う。

許容度の幅を広く持っていたほうが、この世界は、生きやすいに違いない。

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