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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

【OJT】●●ハラスメントとの兼ね合いを気にして

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先日、ある外資系に勤務するマネージャが研修に参加され、こんな話をされていた。

「うちの会社では、上司が部下を飲みに誘うこと自体がNGです」

「なぜですか?」

「パワハラになるからです」

「え?部下が、"行きましょう!喜んで"といってついてきたとしても、ですか?」

「そうです。断れなかったと言われたらもうアウトなので」

「ほほぉー、それは厳しいですね。」

「グローバルのPolicyとして出ています」

「部下から誘うのは?」

「それはOKです」

・・・・外資系なので、日本企業よりは、厳しいのでしょうが、それでも管理職も大変な時代になりました。

さて、同じようなことをOJTトレーナーも悩んでいます。

「新人を飲みに誘いたいのだけど、誘っていいんですかね?ちょっと心配。誘っちゃいけないような・・」(男性トレーナー)

「トレーニーは女性ですか?」

「はい、異性です」

「サシ、は辞めた方が無難ですよね。まあ、男性同士でも、"断り切れなかった"と思われたら、ハラスメントと言われちゃうかもしれないし」

「えー、そんなに厳しいんですか?今」

「もちろん、企業風土や社内規則などによっても異なるでしょうが、飲み会の設定は年々難しくなってきている話をあちこちで聴きますね」

「むむー」

「飲みに誘うのであれば、複数人、たとえば、他の新人も誘ってきて、OJTトレーナーも何人か参加するから、という感じとか。それと、複数人だとしても・・・・。人間関係ができてからのほうが無難ですかね」

「でも、その"人間関係"を作るために飲みに行っていたのに、他の選択肢が思いつかないです」

「After5じゃなくて、Before5、アルコール抜きでできる関係構築の術をいろいろ学ぶ必要がありますよね」

・・・・

というわけで、OJTトレーナーは、飲み会一つ開くにしても、「パワハラ」「セクハラ」と思われるのではないかとドキドキしているし、飲みに行ったら行ったで、酒席のあれこれについて、「アルハラ」になったらどうしよう?とまた心配で仕方ない様子。

OJTトレーナーの上司たちも、「これを言うとパワハラになるかな」と一言ひとことに慎重になっているとも聞く。

もちろん、ハラスメントはいけないことだけれど、こればかりは、明確な基準がなく、「ハラスだ」と思われたら、ハラスメント!になってしまうわけで、本当に難しい。

それにしても、「人間関係を作りたいなと思って、職場を離れた飲み会を設定したいが、人間関係ができていいないうちに酒席に誘うとハラスメントと思われるのではないかと考え、一歩踏み出せない」というジレンマ。

じゃあ、新入社員から誘ってもらえばよいかというと、新入社員に尋ねると、「先輩がいつ見ても忙しそうで、とてもじゃないが、飲みに誘うなんてできない」と言う人も多く、なんかまるで「ヤマアラシのジレンマ」みたいだな、と思った次第。

今のマネジメントは、一つ一つ、慎重でなければならないので難しいですね。

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講師をしていても、無意識に発言した何かがよくよく考えると「問題発言」というケースがあるので、本当に一言ひとことを注意する必要があります。

 

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