「シニアは教育なんかしても変わらない」は本当か?
シニア・・・50歳以上を一般には指しますが、ミドル・・・40歳以上を指すように思いますが、そのシニア、あるいは、ちょっと手前のミドルについて。
よくこんな話を聴きます。
ミドルやシニアは、もう教育なんかしても変わらない。
あのおじさんたち、おばさんたちは、定年まで、余計なことはしなくていいから、人に迷惑だけはかけないでいてくれたらそれでいい。
そして、シニア層は、本当にそういう扱いを受けていたりします。
役職定年になったんですよ。それでも、目標管理制度はあるんで、何か挑戦する目標を書こうとしたら、「5×歳以上の方は、減点されるようなことさえしなければ、つまり、大過なく過ごしていただければ、普通に給料支払いますので」なんて言われて、挑戦しなくてよい、って感じなんですよね。それもなんだかなーと思って。
社会は超高齢化社会に突入していて、会社の平均年齢もずいぶん上がっているのではないかと思います。
そして、シニアはとても増えている。その増えているシニアを「大過なく過ごしてもらえばいいですよ」と言っていていいのだろうか?
もう一花も二花も咲かせてください。若い人に負けずにどんどんチャレンジもして、能力も向上してください。まだまだ何かを作り出していってください。そのためには、学んで、時に、学びなおしてください。
そんな風に期待を掛けてもいいんじゃないかと思うのです。
いやあ、鶏が先か、卵が先か、の議論でもありますが。
会社あるいは上司が期待をかけないから、シニアはやる気をなくすのか、
やる気ないシニアをさんざん見てきて、会社あるいは上司がだんだんと期待しなくなっていくのか。
どちらが出発点であっても、組織にとってあまり健全なことはないわけで。
さて、そんなことを日々なんとなく考えていたら、すごいミドル&シニアに出会いました。
ある企業でプレゼンテーションスキルの研修を行った時のことです。40代50代が参加されています。
プレゼンテーション演習を何度も行い、2回はビデオ撮影を行い、そのビデオも見ていただく、といった内容です。
4-50代のクラスというと、指摘されたことが改善されない、あるいは、改善しようとしない、最終的には「わたし流を貫く」場合がたびたびあります。
なので、モチベーションをが刺激する工夫をこらします。
普段は。
ところが、ところが。
この時の参加者は、もうすんごく前向きなのです。
●講師や他者に指摘されたことをきちんと理解して、次の演習で直してみる、あるいは、取り入れてみる
●よければビデオを見てきてください、とDVDを渡したら、本当にほとんど全員が見てきた
●自分の姿を見た上で、「こういう点があるから、今日はここに取り組んでみる」と自分なりの課題設定をする
●中には、「PowerPointを使ったことがない」という方もおいででしたが、こんな方法があるんですよ、とTIPSを伝えると身を乗り出して見ている、そして、すぐ試してみる。「おお!ほんとだ。これ覚えておこう」と
●他者のプレゼンを見て、「こういう点がよかった」「こういうことを取り入れていたのが変化した」とそれぞれの成長を互いに喜んでいる
●多少下手でもいいから、とにかく、習った方法を取り入れてみる
・・・なんというか、20代向け、それも新入社員の研修をしているときのような光景でした。
言われたことをすぐ取り入れる。
今度はこうやってみようかな、と挑戦する。
少し引っかかってしまって、自分で頭真っ白になったら、「もう一度最初からやっていいですか」と再度挑戦する。
目頭が熱くなるような経験でした。
「働かないシニア」とか「変わろうとしないシニア」とか、いろいろ言われていますけれど、そして、そういうシニアやミドルも多数いるには違いないのだけれど、変われないのではなく、変わる環境がないだけなのかもしれません。
皆が学ぼうとしている雰囲気の中で、研修担当者の方も、「何か持ち帰ってください、職場で生かせることたくさんあります、楽しんで学んでください」と想いを伝えてくださると、そこには、「おお、一緒にやろうじゃないか!」というムードが生まれてくるのです。
講師の力ではなく、参加者相互の力の結集で、「学ぶ」「変わる」「挑戦する」ことが普通に行われていきました。
そして、1日目より2日目、進化した自分を感じられるとまた嬉しいのです。他者の変化を見てもまた楽しいのです。
シニアだって変わる。
変わると信じれば変わる。
自分が信じる。
他者も信じる。
変わる、変わる、変われると。
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拙著と、お友達の大島武さんの本を紹介しておきます。
大島さんの本に、「プレゼンテーションは、プレゼントです」と書いてあります。
誰かに何かをプレゼンとする、そういう気持ちでつたえましょう、と。